介護用手すりにはどんな種類がある?介護保険の対象になるの?

高齢になるとちょっとした動作が億劫になりやすいです。
慣れた自宅でも転倒の心配があります。

動作を補助し、事故を防止するのが介護用の手すりです。

ここでは介護保険で利用できる手すりについて説明します。

介護保険の対象になる「手すり」

要支援・要介護の認定を受けた利用者に対して、自立を支援する手すりを含む福祉用具の購入・レンタルは、介護保険の対象になります。

介護保険の手すりの目的は、利用者の身体機能の低下に伴う動作を補助し、転倒によるけがなどのリスクを防止することです。

適切な設置をしないと思わぬ事故が発生する場合もあるため、正しく取り扱う知識が必要です。

以下に、手すりの基本について紹介します。

手すりの基本について

手すりは”動作補助”と”歩行補助”の大きく2タイプに分類します。

使い方は3つです。

  • 握る
  • 擦(す)る
  • 寄りかかる

手すりをしっかり握り、からだを引き寄せたり押し戻したりしながら、身体の動きを補助します。

手すりにからだを擦り寄せながら移動し、腕や腰をのせて寄りかかることで、体重を支えながら姿勢を保ちます。

手すりがしっかりと固定されていない場合に、手すりがはずれ全身ごと転倒する事故に伴う、打ち身やけがの発生につながります。

そのため、手すりの取り付けは専門の施工業者に依頼することが重要です。

手すりを取り付ける位置は、床から約75cmの高さが一般的とされていますが、各利用者の身長・状態・使用目的に合わせます。

位置を決める目安としては、利用者が立って両手を自然におろし、手首の外側に少し骨がでている”尺骨茎突(しゃこつけいとつ)点”に合わせることです。

杖を用いる場合や、日常生活のなかでおもに利用したり過ごしたりする部屋に移動するためには、握ったり寄りかかったりしやすい位置や場所に設置します。
取り付ける位置が高すぎると、ひじを大きく曲げることになり体重をかけにくく、身体を押し戻す反動力が少なくなります。

肩を動かせる範囲に制限がある利用者の危険性は、身体のバランスが後ろにかたむいてしまうことに伴う転倒です。

一方、低すぎる場合に生じる問題は、利用者がまえかがみの姿勢になり、全身のバランスが前方に片寄ることです。

足を上げにくくなるため、腰・ひざ・うでに余計な負担をかけることになり、歩きづらくなります。

手すりの種類:トイレ用

トイレに取り付ける手すりの種類は、

  • 便座への移動補助
  • 座ったり立ち上がったりする際の動作保持
  • ズボンなどを降ろしたりはいたりする間の姿勢保持

に応じた動作補助タイプです。

壁に固定するたて1本の”I型”や、たてよこふたつの機能を備えた”L型”などが代表的です。

便器の両側の床に固定するひじかけタイプや、天井と床につっぱり棒で固定するタイプもあります。

たてI型手すり、またはL型手すりのたて部分は、利用者にとって使いやすい便器の先端から約20~30cmの位置に設置するのが一般的です。

あまり便器に近すぎる位置の場合、立ち上がる時に手すりを握る手が身体の後方になって、身体に負担を与える姿勢になってしまいます。

立ち上がると、からだの前に手すりがあるように設置しましょう。

注意点として、便器に近すぎる位置では腕に強い力をこめる必要があり、手すりの動作補助という効果が発揮できなくなります。

しっかりと握れる範囲で便器から遠い位置になるほど、身体の重心移動を使って立ち上がりやすくなります。

L型のよこ手すり部分は、便座の高さから約23~30cm上の位置が目安です。

便器の正面に取り付ける際には、手すりを握った場合に以下のことに気を付けましょう。

  • 前にかがんで立つときに、頭が壁にぶつからない
  • 男性の利用者が立って排尿するときに、腰にあたらない
  • 介護者の腰にあたらない

便器の先端と壁までの間に40cmほどのスペースの余裕がない場合は、たて型の手すりをおすすめします。

手すりの種類:居室・ベッド用


居室やベッドまわりの手すりの種類は、ベッドから車いすへの移動補助や、ベッド上での座位から立ち上がる動作補助タイプです。

ベッドに近いポータブルトイレへの移動補助にも用いられ、どれもできるかぎり自立した動作が行えるよう工夫されています。

”据え置き型”という、立ち上がりをサポートし姿勢を保つベッドのすぐそばにあるものが代表的です。

”据え置き組み合わせ型”は、据え置きをいくつか組み合わせ、その間にバータイプの横手すりを加えたものです。

立ち上がりを補助し、握る場所を変えることで、方向転換と歩き出しを補助するタイプです。

居室内のソファーなどの横に、天井と床につっぱり棒で固定する”突っ張り型”を設置する場合もあります。

突っ張り型をいくつか設置してその間を横型バーでつなぐと、しっかりした壁がない居室内の歩行補助も可能です。

ふらつく場合も手すりをしっかりと握る力を持っていれば、転倒事故を防げます。

手すりの種類:玄関・アプローチ用

玄関や、庭先などから玄関までのアプローチに適した手すりは2種類です。
移動補助と、玄関の土間から一段高くなる上がり框(かまち)に移動する際の姿勢保持が目的です。

段差の昇り降りや、座り込みと立ち上がりなどの上下動作補助として、一般的に検討されるのは、I型手すりです。

ただし、利用者の要支援・要介護度によって異なりますが、L型や、”上がりかまち用”のほうが、土間⇒かまち⇒廊下へよりスムーズに移動できます。

いくつかを組み合わせる工夫が、利用者にとってより住みやすい住宅環境につながります。

設置する位置の目安は、手すりの横部分を握りからだを近づけた際に、手と肩の高さが同じ程度が標準です。

I型手すりでは、上端が立った時の肩の高さか、やや上になる位置が適しています。

転倒しやすかったり、下肢の筋力や機能が低下して床移動が多い利用者には、床面から立ち上がることを配慮して低めの位置に設置しましょう。

ドアを開閉する際は、手すりを握る指がドアに触れてこすれないよう、適度なスペースを確保するよう注意します。

手すりの種類:廊下・階段用

廊下や階段の手すりの種類は、歩行や昇降移動の補助、ドアの開閉時の立位保持を目的に選びます。

廊下に手すりを設置する際は、利用者の身長や要支援・要介護度、身体機能によって、以下を基準にします。

  • 立って腕をおろした状態の手首の位置に合わせる
  • 骨盤とつながる大腿骨のもっとも外側にでているところに合わせる
  • 杖を使用している場合には杖の高さに合わせる
    以上の3つを目安にすると、一般的に床から約75~85cmの高さになります。

階段の手すりは、横型のタイプを段差の角度に合わせて斜めに取り付けますが、階段の先端である段鼻(だんばな)の位置から垂直上に約75cmの高さが標準です。

壁をつたっていく際に生じる入り隅は、ふたつの壁が重なる部分の凹になる角です。
出隅はふたつの壁が重なる部分の凸になる角を指します。

それぞれの角に適した手すりを設置して、歩行補助がとぎれないよう注意する必要があります。

利用者の衣類の巻き込みによる転倒を防止するために、手すりの先端に角のない形の金具やカバーなどを取り付けておくと安全です。

手すりの種類:風呂場用


風呂場の床は水濡れしてすべりやすいです。
身体を支える手すりが、転倒事故の防止につながります。

風呂場に設置する手すりの種類は、シャワーチェアでの立ち座りのための上下動作を補助する型や、浴槽をまたぐ体勢を補助するグリップとよばれるタイプが一般的です。

浴槽の出入りでフチをまたぐ時に、すべての方向から握られる楕円形の手すりと高さ調節も可能なタイプです。

浴室の出入り用にI型、浴室内を移動するためには横バー型、そのふたつの機能を備えた横が長めのL型などが適しています。

脚を曲げられない利用者の、入浴姿勢の保持のため浴槽内に設置するタイプや、浴槽からの立ち上がりを補助する型もあります。

浴槽フチに取り付けるものは、専門施工業者に依頼して壁に設置するタイプと異なり、ねじなどを締めて固定するだけで済みます。

吸着力が強い吸盤でタイルにくっ付けるタイプや、腰掛けたまま浴槽に入れるトランスファーボードなどもあります。
滑り止め機能があるかをしっかりと確認しましょう。

介護保険を利用して、手すりのレンタルと購入はどちらがいい?

手すりを長期間使用する場合は、購入するほうが費用を抑えられます。

自分のものになるため、ダメージなどを心配せずに使用できます。

一度購入したらその後は交換ができないという問題があります。

長年の使用により形や品質が劣化する福祉用具は、介護保険を利用して特定福祉用具として購入が可能です。

手すりは、要支援・要介護の認定区分に関わらず購入かレンタルの対象です。

次の項目で、レンタルの場合のメリット・デメリットを紹介しましょう。

レンタルの場合のメリット・デメリット

介護保険制度の居宅サービスのひとつとして、福祉用具の貸与があります。

対象になるものは、要介護者などの日常生活の利便性をはかるため、または機能訓練に用いる用具です。

概要は、利用者が在宅で自立した日常生活を送れるよう、補助する福祉用具に対して給付するというものです。

手すりは要支援か要介護の認定を受けると介護保険が適用され、基本的に1割負担で利用できます。

レンタルのメリットは利用者の要支援・要介護度に合わせて、いつでも最適なタイプを新たに契約し直せるということです。

デメリットは、貸与品のため、既に他者が使用した中古品に抵抗感がある場合や、汚したり傷つけないように気を使う点です。

レンタルは取り付け工事が必要ない手すりに限られます。

レンタル品の例として、「たちあっぷ02 かいじょくん ベッドでとまるくん付」は、ベッドからの立ち上がりや車イスへの移乗を補助する手すりです。
介護保険1割適応の場合、月額464円(税込)で借りられます。

レンタル参考取扱い業者:手すりのレンタルなら「ダスキンヘルスレント」

住宅改修の場合

身体機能の低下などにより歩行がおぼつかない場合や、車いすを利用するようになると、自宅内のほんの少しの段差が支障になることがあります。

転倒などの危険性がある場所に手すりを取り付ける改修方法があります。

介護保険における住宅改修は、高齢になったり、要支援・要介護認定をうけるようになっても、利用者が住み慣れた家で安全で快適に暮らすことが目的です。

要支援・要介護の区分にかかわらず、一般的な所得であれば、住宅改修費用の限度額200,000円の9割が支給されます。

  • アプローチ
  • 玄関
  • 廊下
  • 居室
  • トイレ
  • 浴室

原則として、施工業者に住宅改修費用の見積もりを依頼し、事前に利用者が居住地を管轄する区市町村の保険福祉課に申請します。

受理されたのちに、一般的に業者へ全額を支払い、後日、保険給付にあたる9割が支給されます。

工事費の1~3割を利用者が業者に支払い、工事完了後に行政から業者に不足分が支払う受領委任払いもできます。

一生涯において200,000円が限度額とされていますが、要支援・要介護度の区分が3段階以上重くなった場合には、再度200,000円の限度額が利用できます。

具体的には以下のような場合です。

  • 要支援1⇒要介護3
  • 要支援2・要介護1⇒要介護4
  • 要介護2⇒要介護5

住宅改修は利用者だけでなく、家族や介護者にも大きなメリットがあります。

利用者を支えながらの介護は、心身ともに負担が大きくなります。
住宅改修によって、手すりなどを必要な場所に取り付けることで、介護する側も安心かつ身体的な負担も軽減されるようになるでしょう。

デメリットは、利用限度額があるため住宅内の改修したい部分が多い場合は、すべて保険給付で補うことが難しいという点です。

1か所の改修のみで上限に達することがほとんどのため、数か所改修する際は自己負担額の割合が増えます。

地域によって助成金を給付しているところもあるため、最寄りの地域福祉課に相談してみましょう。

特定福祉用具の購入


特定福祉用具とは、介護保険の給付によって購入できる福祉用具のことです。

厚生労働省により、直接利用者の肌に触れるため、貸与物として適切でないと決められた以下の5種目です。

  1. 腰掛便座
  2. 自動排泄処理装置の交換可能部品(特殊尿器)
  3. 入浴補助用具
    • 入浴用いす
    • 入浴台
    • 浴室用すのこ
    • 浴そう用手すり
    • 浴そう内いす
    • 浴そう内すのこ
  4. 簡易浴そう
  5. 移動用リフトのつり具部分

手すりの取り付けは福祉用具専門相談員に相談しましょう

福祉用具専門相談員とは、介護保険制度で定められた福祉用具に関する専門家です。

利用者や家屋の間取りに最適な手すりを選択したい場合には、福祉用具専門相談員に相談することをおすすめします。

利用者の

  • 要介助、要介護度
  • 心身の状態
  • 要望
  • 住宅環境

に配慮し、豊富な経験と知識をもとに利用計画の作成や相談に対応してくれます。

一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会などもあります。
まずはケアマネジャーや地域福祉課にたずねてみましょう。

一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会

手すりの取り付けが介護予防に繋がります

高齢になると、住み慣れた家のなかでも動くことがおっくうになり、運動能力が低下します。

いままでと同じように生活することが難しくなった場合には、手すりの取り付けを考えてみましょう。

転倒の危険や、身体的負担が緩和されます。

介護保険や、地域の助成金の利用も検討してみてください。
手すりを取り付けると、安全でより快適にすると同時に介護予防につながります。

介護用手すりにはどんな種類がある?介護保険の対象になるの?

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