【高齢者の睡眠】特徴は?長いのは問題ない?睡眠障害を予防するには?

高齢者の睡眠は、寝つきが悪かったり、朝早く起きてしまったり、ぐっすり寝た感じがしないことがあります。

加齢に伴い睡眠に変化が現れます。
睡眠不足や過眠は、心身ともに悪影響です。

認知症などの病気を悪化させる恐れもあるため、早めの予防や対策が大切です。

この記事では、高齢者の睡眠の特徴や注意すべきポイントを解説します。

高齢者の単相性睡眠、原因や影響とは?

高齢者の単相性睡眠は、睡眠の質に変化が現れます。

昼夜逆転など生活リズムが崩れる影響があるため、睡眠障害の原因を知っておきましょう。

加齢に伴う高齢者の睡眠の特徴とは?

人間は成長するにつれて、1日に何度も眠る「多相性睡眠」から、まとまった時間眠る「単相性睡眠」に変化します。

単相性睡眠では、深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠の2つのサイクルを交互に繰り返します。

若年者に比べて高齢者の単相性睡眠では、次のような変化が現れます。

  • 早寝早起きに変わる
  • 睡眠が浅くなる

早寝早起きの変化は、ぐっすり眠れているのであれば問題ありません。

しかし、浅い睡眠で日中でも強い眠気を感じるのであれば、注意が必要です。

また、高齢者は深い眠りのノンレム睡眠が減って、浅い眠りのレム睡眠が増えるように変化します。

そのため、小さな物音や尿意だけでも目覚める機会が増えてしまうのです。

高齢者の睡眠障害の原因

高齢者の睡眠障害の原因は大きく4つに分かれます。

1.環境の変化

健康な大人でも寝具が変わると寝付きが悪くなる場合がありますよね。

高齢者の場合も同じく、環境の変化による睡眠障害が現れやすいです。

年齢による睡眠の変化だけでなく、病院への入院や施設への入所など環境が変わる機会が増えます。

新しい環境への適応には時間がかかるため、慣れるまでは睡眠障害が現れる可能性があります。

また、不快な気温や湿度も睡眠障害の要因です。
夏場など気温や湿度が高いと寝苦しいですよね。

適度な温度や湿度の管理も睡眠の質を上げるためには重要な要素です。

2.身体の不快症状

身体に起こる痛みやかゆみなどの不快症状は、睡眠を妨げます。

高齢者は肌が乾燥しやすく、夜間にかゆみが強くなる場合があります。

さらに、夜間頻尿など病気の症状に悩まされる人も少なくありません。

不快症状が病気によるものであれば、症状のコントロールが睡眠障害を改善するポイントになります。

3.精神状態の不安定

さまざまなストレスは交感神経に作用し、リラックスできず睡眠障害が起こります。

特に認知症の高齢者は、BPSD(行動・心理症状)として不眠が現れます。

日中に感じた些細なストレスが積み重なり、夜間に睡眠障害として現れる場合は注意しましょう。

また、レビー小体型認知症は、睡眠障害が現れやすい認知症です。

夢を見ながら夢の中の行動を起こすような行動異常が見られます。

4.生活習慣の乱れ

睡眠障害を誘発する生活習慣は次の通りです。

  • カフェインを含むコーヒー
  • ニコチンを含むタバコ
  • アルコール

これらの嗜好品は、交感神経を高めて寝付きを悪くします。

アルコールは入眠を促す作用がありますが、アルコールを分解して生成される物質が深い睡眠を妨げます。

つまり、アルコールを飲めば寝付きがよくなる場合もありますが、身体と脳はぐっすり休めていません。

また、昼寝をしすぎたり、日中の活動量が少なかったり、不規則な生活習慣は睡眠障害の要因です。

規則正しい生活習慣が睡眠障害を改善するポイントになります。

高齢者の睡眠障害で起こる影響

睡眠障害で身体と脳がきちんと休めていない状態が続くと、次のような影響が現れます。

  • 昼夜逆転の生活になる
  • 不穏、夜間せん妄になる
  • 転倒など思わぬ事故につながる
  • 高血圧など生活習慣病を引き起こす

夜間の不穏やせん妄状態が続き精神状態が悪化すれば、在宅生活を続けるのが困難になります。

また、転倒による骨折や生活習慣病を発症すれば、寝たきり状態になる恐れもあります。

そのため、高齢者の睡眠障害は放っておいては危険です。

改善策のヒントを得るために、まずは高齢者の睡眠障害の特徴を理解しましょう。

短いのも長いのも問題…高齢者の睡眠障害の特徴

60歳以上の約3人に1人が睡眠問題に悩んでいます。

高齢者の場合、睡眠時間が短いだけでなく、長く寝すぎてしまう状態にも注意が必要です。

高齢者に起こりやすい睡眠障害を詳しく紹介します。

高齢者に起こりやすい睡眠障害の種類

睡眠障害には4種類のタイプがあります。

入眠困難

入眠困難とは、寝付きが悪い状態のことです。

布団に入っても約30分〜1時間以上なかなか寝付くことができません。

早めに布団に入っても、寝付くのが遅いため結果的に睡眠不足になります。

高齢者の場合、環境の変化などでさまざまなストレスを抱えている状態です。
そのため、神経が高ぶるような状態になります。

寝るためにはリラックスする際に働く副交感神経が関係していますが、逆の交感神経が働く状態でスムーズな入眠につながりません。

また、ストレス以外にも生活リズムが崩れることで入眠困難が起こります。

中途覚醒

中途覚醒とは、一度寝付くことができても、途中で何度も目が覚める状態です。

目が覚めるのが夜中に一度程度で、すぐに寝付けるのであれば問題ありません。

しかし、環境の変化などのストレスがないにもかかわらず、何度も目が覚めて寝付けなくなる状態では睡眠不足の状態です。

中途覚醒は、睡眠が浅くなる高齢者に多い症状です。

全体での睡眠時間は十分ですが、熟眠感がなく疲労感が残ります。

熟眠障害

熟眠障害とは、十分な睡眠時間を確保できているにもかかわらず、ぐっすりと寝た感じがしない状態です。

寝付きはスムーズですが、朝起きた時に疲れが残っています。

睡眠が浅くなる高齢者に多い症状です。

早朝覚醒

早朝覚醒とは、起きようとする時間、もしくは通常起きる時間よりも数時間早く目覚めてしまう状態です。

これも高齢者に多い症状で、一旦起きてしまうと再び寝付くことができません。

そのため、睡眠時間が短くなってしまいます。

不眠症

不眠症とは、睡眠障害が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感や食欲低下などの不調が出現する病気です。

通常であれば睡眠障害が起こっても数日や数週間で症状が改善しますが、不眠症は1ヶ月以上続きます。

さらに、日中に倦怠感・食欲低下・抑うつ状態・頭痛・めまいなどの不調が起こり、日常生活に支障をきたすようになります。

過眠症

スッキリと寝れる睡眠時間には個人差があり、「短ければ良い」「長ければ良い」というわけではありません。

しかし、日中の病的な眠気が起こる過眠症には注意が必要です。

夜十分に睡眠をとっているはずなのに、昼間の眠気が強く目覚められていない場合があります。

過眠症を引き起こす病気の代表例は「睡眠時無呼吸症候群」「ナルコレプシー」などです。

高齢者の場合、過眠症を放っておくと昼間に寝すぎてしまい、昼夜逆転の生活になる恐れがあります。

質の良い睡眠で健康に! 高齢者の睡眠障害の予防と対策

高齢者の睡眠障害は、転倒による骨折や生活習慣病、認知症の悪化を招きます。

睡眠障害の予防と対策で、質の良い睡眠を確保し、健康を維持しましょう。

寝室環境を整える

入眠をスムーズに促し、熟眠できる環境を整えましょう。

理想の寝室環境は、次の通りです。

  • 室温が快適な温度(夏は約25〜26℃、冬は約22〜23℃)
  • 湿度は約50〜60%
  • 光が遮断されている
  • 騒音がない
  • アロマなど好みの香りである

次に寝具を選ぶポイントは、次の通りです。

  • 寝返りが十分できる
  • 布団は保温性、吸湿性、放湿性に優れている
  • 枕の高さが合っている(肩が浮かない)

その他にも床に物が置いてあったり、水で濡れていたり、転倒しやすい環境には注意が必要です。

活動と休息のバランスを整える

昼夜逆転を防ぐために、適度な運動日光浴昼寝の活用が重要なポイントです。

活動と休息のバランスを整えて、睡眠障害を予防しましょう。

適度な運動は、心身の機能を高めて日中の覚醒を維持します。

運動による心地よい疲労は、スムーズな入眠と中途覚醒を減らすために効果的です。

そして、運動と合わせて日中は太陽の光を浴びる日光浴の習慣をつけましょう。

朝太陽の光を浴びなければ、体内時計が乱れて寝付く時間が少しずつ遅れます。

体内時計の乱れは、睡眠障害のきっかけにもなるため注意が必要です。

カーテンを閉めたままの暗い寝室で朝を迎えるのではなく、日光を部屋に取り入れましょう。

また、夜間不眠が続き日中眠気が襲う場合は、昼寝を活用しても良いです。

しかし、夜間の睡眠を妨げないために、午後の早い時間で30分以内の短い昼寝を心がけましょう。(※2)

入浴の時間帯を工夫する

スムーズな入眠を促すために、入浴を活用しましょう。
入浴する時間帯湯の温度には注意が必要です。

身体の深部体温が徐々に低下することで、スムーズな入眠につながります。

そのため、寝る直前の入浴と熱い湯に浸かるのは、避けましょう。

就寝0.5〜6時間前に40℃程度の高すぎない湯温で入浴を済ますのが効果的です。(※2)

家族介護や介護サービスの都合上、昼間に入浴を済ます場合は、寝る前の足浴だけでも入眠を促す効果があります。

不眠が続く場合は、足浴を活用しましょう。

リラックスできる環境を整える

就寝前は、副交感神経を高めてリラックスできる方法を試しましょう。

しかし、リラックスしようと無理に頑張るのはかえって逆効果です。

深呼吸法やアロマセラピー、音楽療法など高齢者がリラックスできる方法を一緒に探してみましょう。

また、就寝前3〜4時間以内のカフェイン摂取には注意が必要です。(※2)

入眠を妨げて睡眠を浅くするだけでなく、利尿作用で夜間頻尿を助長する恐れがあります。

コーヒーや緑茶、紅茶などのカフェインを含む飲料を摂取する時間帯には気をつけましょう。

高齢者に要注意! 睡眠薬服用時の注意点とは?

睡眠障害の症状によっては、睡眠薬が処方される場合があります。

若年者に比べて高齢者の場合、睡眠薬服用時にはさまざまな注意が必要です。

高齢者が飲める睡眠薬

睡眠薬には、睡眠時の緊張や不安を和らげて入眠をサポートする役割があります。

しかし、高齢者は肝臓による薬の代謝能力が低下しているため、服用する睡眠薬の作用や副作用に注意が必要です。

睡眠薬が強く効きすぎたり、副作用が強く現れたり、身体の変化が起こりやすい状態です。

そのため、超短時間作用型短時間作用型の睡眠薬が処方される場合があります。

超短時間作用型 アモバン、マイスリー、ハルシオンなど
短時間作用型 リスミー、デパス、レンドルミンなど

服用して良い時間帯に注意

睡眠薬は服用する時間帯に注意が必要です。

早く服用すれば入眠のタイミングを逃し、遅く服用すれば翌日まで薬の効果が現れてしまいます。

服用する時間帯は、「医師の指示通り」が原則です。

入眠する30分〜1時間の間に服用を済ませて、基本的には0時を超えて服用しないように心がけましょう。

万が一、0時を超えて服用しなければならない状態であれば、早めに医師に相談しましょう。

服用後の転倒に注意

高齢者の場合、睡眠薬の副作用である「服用後のふらつき」症状が現れます。

睡眠薬を服用後も中途覚醒する場合があるので、転倒には注意しましょう。

また、睡眠薬の持ち越し効果で、翌日にもすっきりせずに薬の効果が残っている場合もあります。

服用後の翌日も、転倒には注意しましょう。

睡眠の質を高めて、高齢者が健康に過ごせる手助けをしよう

高齢者は睡眠障害が起こりやすい状態です。

睡眠の質を高める環境調整や働きかけで、睡眠障害を予防し、悪化を防ぎましょう。

また、睡眠薬を服用する場合には、服用する時間帯服用後の転倒に注意が必要です。

睡眠の質を高めて、高齢者が健康で元気に過ごせるような手助けをしましょう。

※1)参考:厚生労働省 e-ヘルスネット

※2)参考:厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針2014

【高齢者の睡眠】特徴は?長いのは問題ない?睡眠障害を予防するには?

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