AIの導入で介護現場はどう変わる?デメリットや今後の課題は?

日本の超高齢化にともない、介護業界の人手不足は深刻です。

問題解決のために注目されているのが「介護×AI」

AIの活用によって介護業界はどのように変化していくのでしょうか。

AIを導入した場合のメリット、デメリットや、導入事例、今後の課題をみていきます。

【AI導入の背景】介護業界の深刻な人手不足

AIの導入には、高齢者の人口が増えていることと介護業界の人手不足が背景にあります。

内閣府の平成30年版高齢社会白書によると、65歳以上の人口は3,515人で全体の27.7%の割合を占めています。

しかし、高齢者を介護する職員の数は足りないのが実情です。

公益財団法人介護労働安定センターの平成29年度「介護労働実態調査」によると、66.6%(大いに不足+不足+やや不足の合計)の事業所で介護職員が不足していると答えています。

従業員の過不足状況
大いに不足 9.6%
不足 24.4%
やや不足 32.6%
適当 33.0%
過剰 0.4%

参考:公益財団法人介護労働安定センター 平成29年度 「介護労働実態調査」p1

その理由としては、介護職員の採用が困難なことが88.5%と最も多くなっています。

このことから、介護職員を必要としている事業所は多く存在するものの、事業所の多くは必要とする職員を十分に確保できていないことがわかります。
そのため、AIの導入によって介護職員の人手不足という課題を解決しようとしているのです。

不足している理由
採用が困難である 88.5%
離職率が高い 18.4%
事業拡大によって必要人数が増大した 10.8%
その他 3.6%
無回答 1.4%

参考:公益財団法人介護労働安定センター 平成29年度 「介護労働実態調査」p2

介護に「AI」を導入するメリット

ではAIを介護に導入した場合には、どんなメリットがあるのでしょうか?

介護にAIを導入するメリットには、

  1. 介護現場の人手不足解消
  2. 介護スタッフの負担軽減
  3. 利用者さんとその家族の安心に繋がる

この3つが挙げられます。

AIを導入した場合には、業務が効率化されて人手不足を解消できる可能性があります。
導入の一例として送迎計画の自動作成が挙げられます。

  • 迎えの時間
  • 車椅子使用の有無

このような情報を人が判断して送迎計画を作成するには、多くの時間がかかります。

しかし、AIであれば必要な情報があれば自動で作成できるようになり、作成していた職員を他の業務に割り当てられます。
そのため、日頃の業務の効率化に役立ちます。

また現場の介護職員にとっては、利用者さんの見守り業務は大きな負担です。
しかし、AIの導入によって見守り業務の負担も軽減できます。

AIを導入すればセンサーで体温や位置情報、心拍数が計測できるため、利用者さんに異常があれば自動で教えてくれます。
そして、センサーは監視カメラと違って、利用者さんが常に監視されているという嫌な気持ちにもなりくいため、利用者さん側にもメリットがあります。

徘徊や排泄があった場合もセンサーでわかるため、職員がすぐに対応できます。
つまり利用者さんだけでなく家族にとっても安心できるサービスだと言えます。

介護に「AI」を導入するデメリット

AIの導入は介護業界の深刻な人手不足の解消に役立つものですが、導入にはデメリットもあります。

考えられるデメリットは、

  1. 初期費用が高額
  2. 操作方法を覚える手間

この2つがあります。

例えば、AIを搭載したロボットにPALRO(パルロ)パロがあります。

PALRO(パルロ)は、AIによって続けて会話ができる人型のロボットです。
パロは、アザラシ型のロボットで人の呼びかけに反応したり、喜びを表現するなど、癒やし効果のあるロボットです。

どちらも介護の現場で活躍が期待されるロボットですが、以下の表のように価格が高額です。
また、購入費用だけではなく維持管理にも費用がかかり、職員が操作を覚えるという手間もかかります。

名称 価格
PALRO(パルロ) 723,600円(税込)
パロ(メンテナンスパック付) 453,600円(税込)

参考:PALRO(パルロ)公式HP

参考:株式会社知能システム公式HP

介護のAI導入事例

介護にAIを導入すると聞いても、なかなかイメージがしづらいものです。
そこで次は、介護にはどんな形でAIが導入できるかを紹介していきたいと思います。

ケアプランを自動作成するAI

株式会社シーディーアイの「CDI Platform MAIA」は、AIを活用してケアプランが作成できるサービスです。

ケアマネージャーがケアプランを考える際に利用し、利用者さんの心身の状態を入力することで、3つのプランが提示されます。
また、ケアプランを実行した場合の将来予測も提示してくれます。

プランは比較できるため、利用者さんや家族の理解が深まりやすいというメリットがあります。

このサービスはクラウド型のため、手元にあるパソコンやタブレット端末で利用できます。

参考:株式会社シーディーアイ

送迎負担を軽くするAI

パナソニックの業務用車両管理システム「DRIVEBOSS(ドライブボス)」は、カーナビを使った送迎支援システムです。

このサービスは、利用者さんの送迎計画を自動で作成してくれます。

走行データだけではなく作業履歴も記録できるため、送迎作業の効率化や、ガソリン代などのコスト削減といった課題の解決に役立ちます。
また、事故や交通違反をなくした安全運転にも貢献してくれます。

このサービスは、通信型、SDカード式、パソコンソフト版の3種類があります。

参考:Panasonic

介護職員をサポートするロボット

アイオロスロボットは、AI・機械学習機能搭載型の人型ロボットです。

腕がロボットアームのため、食事や洗濯物などの運搬、回収、ごみ出しなどに活用できます。
また、利用者さんが普段とは違った行動(転倒、体調不良など)をとった場合には、アラートで教えてくれます。

クラウドを通して情報共有できるため、ロボット同士でも情報が共有できます。
また、人の声でロボットに指示を出すことも可能です。

参考:JOINT

「介護×AI」の今後

65歳以上の人口が増えるこれからの社会は、超高齢化社会へと進んでいきます。
しかし、それに反して介護業界は深刻な人手不足という課題を抱えています。

AIの導入は、介護業界の人手不足を解消してくれる可能性がありますが、導入するには高額な費用がかかるため、それほど普及していないのが現実です。

そのため、これからAIを介護業界に普及させていくには、導入の手助けとなる補助金制度の充実が課題と考えられます。

AIの導入で介護現場はどう変わる?デメリットや今後の課題は?

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