【介護現場のヒヤリハット】どんな事例がある?予防策は?

介護の現場では事故の前段階のことをヒヤリハットと呼びます。
ヒヤリハット対策を怠ると大きな事故につながる可能性があり危険です。

利用者が安心できる介護をするためにも、ヒヤリハットへの意識は大切。
そこで今回はヒヤリハットの事例とともに、予防策を紹介します。

介護におけるヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは、事故にはならなかったものの、事故になる可能性があった出来事のことです。
「ヒヤリとした」「ハッとした」という本人の感じた気持ちが語源となっています。

ヒヤリハットと混同して使われがちな言葉に「インシデント」があります。
インシデントは、事故には至らなかった出来事のことで、ヒヤリハットと意味が似ています。

しかし、「ヒヤリとした」「ハッとした」という本人の感情や気付きがあったかどうかは関係ありません。

危険が認識できていないインシデントは重大な事故につながる可能性が高いので、ヒヤリハットとは別のものとして扱います。

また、ヒヤリハットに関する法則で「ハインリッヒの法則」があります。
ハインリッヒの法則とは、アメリカの損害保険会社に勤務していたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが提唱したもので、1件の重大な事故の裏には、29件の軽傷な事故300件のヒヤリハットがあるというものです。

現在では、介護の現場だけでなく医療や製造業など多方面で活用されており、事故防止に役立てられています。

ヒヤリハットと事故の違い

ヒヤリハットと事故には、以下のような違いがあります。

ヒヤリハット

  • 事故には至らなかった出来事
  • 事故が起きる前に、本人が「ヒヤリとした」「ハッとした」と感じたこと
事故

  • 実際に利用者に対して起こった出来事で、命に関わることや怪我など

介護のヒヤリハット事例

ヒヤリハットには、大きく分けてこのような事例があります。

  • 転倒、転落
  • 誤嚥、誤飲
  • 介護ミス
  • 食中毒、感染症

では、実際に介護の現場では、どのようなヒヤリハットがあるのでしょうか?
ここからは、施設介護と訪問介護に分けて、事例を紹介します。
様々な事例を知ることで、事故予防に繋げましょう。

施設介護のヒヤリハット事例

【転倒、転落】
内容

  • 入浴中に、利用者が浴室でふらついた。

原因

  • 浴室の滑りやすさを甘くみていた。
  • 利用者の歩行状態が不安定だった。
  • 石鹸の泡が床に残っていた。

対策

  • 歩行状態に問題がない利用者でも、浴室では手を添えるなど注意する。
  • 利用者の体調や歩行状態の変化をスタッフ間で情報共有する。
  • 床が滑りやすくなっていないか事前に確認する。
【誤嚥、誤飲】
内容

  • レクリエーション中に、おはじきを口の中に入れてしまった。

原因

  • 忙しかったので、少しの間なら大丈夫だろうと利用者のそばから離れてしまった。
  • 認知症のある利用者だが、食べ物以外のものを口に入れることはなかった。

対策

  • 必ずスタッフの目が届くところに座ってもらう。
  • 今までない行動でも起きる可能性があるので注意する。
【介護ミス】
内容

  • 服薬する薬を間違えそうになった。

原因

  • 通常ダブルチェックをするが、スタッフが足りず1人で行った。
  • しばらく同じ薬を内服していたが、最近変更になったことを知らなかった。

対策

  • 必ずダブルチェックを行う。
  • 業務に入る前に、利用者のカルテをしっかり確認する。
【食中毒、感染症】
内容

  • 体調不良を我慢して勤務していたら、インフルエンザに感染していたことが分かった。

原因

  • 人員不足で勤務変更ができなかった。
  • 迷惑をかけられないと思い、言い出せなかった。

対策

  • 利用者にうつる可能性があるので無理せず報告し、勤務変更できないか上司や同僚に相談する。

訪問介護のヒヤリハット事例

【転倒、転落】
内容

  • 介助中にベッド柵を外したが、戻すのを忘れていまい利用者が転落しそうになった。

原因

  • 寝たきりの利用者なので、すぐに戻さなくても大丈夫だろうと思った。
  • 後で戻そうと思ったが、他のことをしている間に忘れてしまった。

対策

  • ベッドサイドから離れるときは、すぐに戻すように心がける。
【誤嚥、誤飲】
内容

  • 食事介助中にむせてしまった。

原因

  • 嚥下機能が低下していたが、スタッフ間で情報の共有ができていなかった。
  • 訪問時間終了が迫っており、食事を口に運ぶペースが早くなってしまった。

対策

  • 小さな変化でも気になることは情報共有する。
  • 訪問診療や訪問看護などが介入している場合には相談し、食事内容を見直す。
  • 利用者のペースで食事介助するよう注意する。
【介護ミス】
内容

  • 利用者の爪切りを介助していたが、深爪になってしまった。

原因

  • 気持ちが焦っており、注意不足だった。
  • 手元が暗くて見えにくかったが、そのまま続けてしまった。

対策

  • 気持ちに余裕がもって行う。
  • 明るいところで行うよう注意する。
【食中毒、感染症】
内容

  • 賞味期限切れの食材を、冷蔵庫の中に入れっぱなしにしてしまった。

原因

  • 訪問時に賞味期限を確認することを忘れていた。
  • 次の訪問時間が迫っており、急いでいた。

対策

  • 訪問のたびにチェックすることを徹底する。
  • 訪問時に行うことのチェックリストを作成し、忘れないようにする。

介護におけるヒヤリハットを予防するために

ヒヤリハットは事故を起こす前の状態ですが、ヒヤリハットそのものを予防することで事故を防げます。
ここからは、ヒヤリハットを予防するためのポイントを紹介します。

環境や介護の仕方に問題がないか

利用者にとっての安全な環境は、その人の病気や身体機能によって異なります。
どこを改善したら安全に過ごせるのか、個別に考える必要があります。

また、介護の仕方は慣れてくると自分のオリジナルの方法になりがちです。
スタッフ間で確認したりアドバイスしたりすると、より良い介護に繋がります。

介護者に油断や気の緩みがないか

業務中は時間に追われることもありますが、それが余裕のなさに直結します。

気持ちにゆとりをもつと、利用者のちょっとした変化にも気付くことができます。
忙しいときは1人で業務を抱えず、他のスタッフと分担することもひとつの方法です。

さらに、勤務期間が長くなり業務に慣れると、介護がルーティーン化するので油断してしまいます。
常に安全を意識して、利用者と接する前に「この方法でいいのかな?」と一呼吸おくことも大切です。

利用者の現状を把握しているか

高齢者の場合、知らず知らずのうちに身体機能が低下していることも少なくありません。
定期的にアセスメントを行い、利用者の状態に合った介護ができるようにしましょう。

業務前にカルテを確認したり、スタッフからの申し送りをしっかり聞いたり、常に最新の利用者の状況を把握することが必要です。

利用者の家族や他の職員と情報共有しているか

介護は自分1人で行うものではなく、チームで行うものです。
そのため、利用者の家族やスタッフとの情報共有は、介護の質を上げるために欠かせません。
日頃から何でも話しやすい雰囲気を作り、必要に応じて他職種との連携もはかりましょう。

共有すべき情報は、利用者の身体状況や皮膚状態などはもちろんですが、悩みや不安などの心の状態も含まれます。
目には見えない気持ちにも寄り添うように心がけ、日々の介護に生かしましょう。

ヒヤリハットを起こさないために


ヒヤリハットを起こすと焦ってしまい、隠したいと思うことがあります。
しかし、予防するためにはヒヤリハットを生かすことが大切なので、正直に公開しましょう。
本人を責めるのではなく、みんなで共有・検証することで、他のスタッフの学びにもなります。

ヒヤリハットは身近なところにあり、誰でも起こす可能性があります。
自分の能力を過信することなく丁寧に業務を行いましょう。

【介護現場のヒヤリハット】どんな事例がある?予防策は?

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