【入浴介助の方法】必要な介護用品は?訪問入浴はどんなサービス?

入浴は、清潔を保つだけでなく、心身のリフレッシュにつながります。

しかし、高齢者の入浴は、転倒の危険性や血圧の変動による身体への負担があるため注意が必要です。

安全に入浴するための必要物品や介助方法についてお伝えします。

また、自宅で利用できる訪問入浴サービスも紹介しましょう。

高齢者の入浴にはどんな効果があるの?

高齢者の入浴の効果は、次の通りです。

  • 血液の循環を良くする
  • 心身のリラックスにつながる
  • 感染症を予防する
  • 生活のリズムを整える

入浴の目的は、清潔を保ち、感染症や褥瘡を予防するだけではありません。

暖かい湯に浸かることで、全身の血行を良くし、心身のリラックスにつながります。

入浴によって生活のリズムが整い、入眠をサポートする効果も期待できます。

つまり、入浴は高齢者が心地よく過ごすために必要な生活の手段です。

一方で、高齢者の特徴を理解しなければ、思わぬ病気怪我につながります。

心筋梗塞や脳梗塞など大きな病気や骨折などの大怪我につながれば、寝たきり状態になる恐れもあります。

だから、正しい入浴介助の方法を知る必要があるのです。

また、入浴介助は注意点が多いだけでなく、とても重労働です。
家族だけで入浴介助を含む介護を続けていると、心身ともに疲弊する恐れがあります。

そこで、活躍するのが介護保険制度による訪問入浴サービスです。

在宅介護を続けるためにも、介護保険による訪問入浴サービスについて知っておきましょう。

今回は、入浴介助の必要物品や手順、注意点などを詳しく説明します。
さらに、介護保険制度を活用した訪問入浴サービスについても紹介しましょう。

高齢者の入浴介助に必要な介護用品や物品リスト

まずは、入浴介助に必要な介護用品や物品を揃えていきましょう。

必要な介護用品

必要な介護用品は、ADL(日常生活動作)の状況によって変わります。

以下の介護用品があると、安全・安楽に入浴ができますので、活用してみましょう。

■椅子(シャワーチェアやシャワーキャリー)
入浴に使用する椅子のことを「シャワーチェア」や「シャワーキャリー」と呼びます。

シャワーチェアは、最もポピュラーな介護用風呂椅子です。
肘掛けや背もたれがあるタイプでは、姿勢が安定するため、転倒・転落を予防できます。

また、座面が高いため、足腰が弱っていても立ち上がりがスムーズです。

その他にも、肘掛け・背もたれがないタイプのシャワーチェアや背もたれが低めのシャワーチェアなどがあります。

折りたたみ式のシャワーチェアもあるため、置き場所に困りません。

浴室や脱衣所のスペースに余裕があれば、シャワーキャリーもおすすめです。
シャワーキャリーは、車椅子のようなシャワーチェアで、移動がスムーズに行えます。

■浴槽用手すり
足腰が弱くなると、浴槽をまたぐ動作が不安定になります。

そこで、活躍する介護用品が、浴槽用手すりです。
浴槽のふちに後付けできる手すりのことで、特別な工事は必要なく利用できます。

■入浴台(バスボード)
入浴台(バスボード)とは、浴槽の両ふちに渡す板のことです。

バスボードに一旦腰を掛けてから、浴槽をまたぐため、姿勢が安定します。

手すり付きのバスボードもあるため、浴槽用手すりだけでは安定しない高齢者におすすめです。

■浴槽内椅子
浴槽内椅子とは、浴槽内などで使用できる椅子のことです。

浴槽が深く、またぐ時に不安定になる場合には、浴槽の中に椅子を設置しておくと踏み台がわりに利用できます。

また、お湯に浸かる時に椅子として使用すれば、立ち上がりがスムーズに行えます。

■すのこやバスマット
すのこやバスマットは、濡れた床での転倒を予防できます。

座った姿勢が保てず、お湯に浸かる時に滑ってしまう時は、バスマットを活用する方法もあります。

ちなみに、介護保険を利用して福祉用具を購入する場合は、一定の上限までは介護保険から支給されます。

入浴時の福祉用具は基本的に肌に触れるものなので、借りるのではなく購入扱いです。

利用には要介護認定を受ける必要がありますので、ケアマネージャーや地域包括支援センターの職員に問い合わせてみましょう。

必要な物品

■介助を受ける側の必要物品

  • バスタオル
  • 着替え、必要に応じて新しいオムツや尿取りパッド ・ボディソープまたは石鹸
  • シャンプーやリンス
  • ボディタオル

バスタオルは、大きくて吸水性が高い方が短時間で身体を拭けるので便利です。

また、泡で出てくるボディーソープの方が、手間がかかりません。

オムツや尿取りパッドを忘れてしまうと、その場を離れなくてはいけないため、大変危険です。
必要物品は忘れずに準備しましょう。

■介護する側の必要物品

  • エプロン(水を弾くもの)
  • 長靴
  • タオル

入浴を介助する側は、濡れないような服装を心がけましょう。

入浴する側と違って、衣類を着たまま浴室に入るとサウナのようで汗をかきます。

タオルを首からかけておくと、すぐに汗を拭えて安心です。

あれば便利なもの

  • 必要に応じて爪切り、皮膚科で処方されている薬や保湿剤
  • 手袋
  • 室内温度計や湯温計

軟膏や保湿剤があれば、入浴直後に塗布しましょう。
入浴後の清潔な皮膚に軟膏や保湿剤を塗布した方が、効果が得られるためです。

また、高齢者の足の爪は疥癬(かいせん)などにより分厚く切りにくい場合があります。
爪がふやけた入浴後に爪切りをしましょう。

最後に、あると便利なものが室内温度計や湯温計です。

脱衣所と浴室の温度差によって、血圧の変動が生じ、心筋梗塞や脳梗塞など大きな病気を起こす場合があります。

特に脱衣所が冷えてしまう場合が多いため、室内温度計で確認しましょう。

また、湯温計で浴槽の湯の温度を測っておくと安心です。

糖尿病や脳梗塞など下肢に神経障害がある場合、湯温が熱くても正確に感じ取れません。

やけどの危険性があるため、湯温計もしくは手で湯の温度を確認すると、思わぬ怪我を防げます。

高齢者の入浴介助の手順や注意点

次に入浴介助の手順を、入浴前・入浴中・入浴後に分けて説明します。

最後に注意点を紹介しますので、参考にしてみてください。

入浴前

  1. 脱衣所と浴室の温度を25度前後に温めておく。
  2. 湯の温度を確認する
  3. トイレを済ませる
  4. 安定した椅子に座り、衣類を脱衣する
  5. 必要があれば手を添えて、浴室まで誘導する

入浴中

  1. シャワーチェアなどに座る
  2. 湯に浸かる前に足元からかけ湯をする
  3. 浴槽用手すりやバスボードを活用して、安全に浴槽内へ誘導する
  4. 身体が温まったら、浴槽から出てシャワーチェアなどに座る
  5. 頭と身体を洗う。

入浴後

  1. 転倒予防のため、先に足裏を拭く
  2. 安定した椅子に座る
  3. 頭と身体を手早く拭く
  4. 必要に応じて軟膏や保湿剤を塗布する
  5. 衣類を着衣する
  6. 必要に応じて、爪を切る
  7. 水分補給をする

注意点

■入浴のタイミングに注意
食事前や食事直後の入浴は避けましょう。

空腹時(食事前)の入浴は低血糖の恐れがあり、食事直後の入浴は消化不良を起こす可能性があります。

スムーズな入眠を促すためにも、できるだけ寝る前に入浴を済ませましょう。

■衣類の着脱時に注意
衣類を着脱する際、麻痺がある場合には、健側(麻痺とは反対側)から脱ぎ、患側(麻痺側)から着ます。

麻痺がある場合は、伸縮性のあるゆったりとした洋服を選びましょう。

また、動作が緩慢でも、なるべくご自身で行ってもらう方が自立を促せます。
できないところを手助けしましょう。

■転倒に注意
浴室内もそうですが、床や足が濡れているととても滑りやすいです。

足腰が弱りバランス能力が低下している高齢者の場合、バスマットなどを活用して、転倒には注意しましょう。

■血圧の変動に注意
急激な温度の変化は、血圧の変動を招き心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを高めます。

血圧の変動による影響を少なくするための方法は次の通りです。

  • 脱衣所と浴室の温度差に注意する
  • 心臓から遠い場所から徐々に湯をかける
  • めまいやふらつきを感じたら早めに切り上げる
  • 湯の温度は38〜40度くらいを目安にする
  • 浴槽につかるのは5分程度、全行程で15〜20分程度を目安にする

普段から血圧が高い高齢者は、入浴前と後で血圧を測っておくと安心です。

血圧が高い場合には、入浴時間に気をつけたり、入浴を見合わせたり、状況に応じて対応しましょう。

負担を軽減しよう! 入浴介助に役立つリフトや機器とは?

シャワーチェアや浴槽用手すり、バスボードなどの介護用品は、転倒予防だけでなく介助の負担軽減につながります。

しかし、身体状況が悪化すれば、介護負担は増えるばかりですよね。

そこで、ADLが低下した場合に活用できるのが入浴介助用のリフトです。

椅子のまま浴槽まで移動できるリフトや車椅子から浴槽まで吊り上げて移動できるリフトなどがあります。

入浴用のリフトは、介護保険の対象となる福祉用具です。

条件によりますが、要介護認定を受けていれば、借りることができます。

吊り上げ式のリフトでは吊り具部分のみ購入になりますが、リフトを全体を購入するよりは安く済みます。

在宅介護で入浴介助に大きな負担を感じ始めたら、入浴用リフトの検討をしてみましょう。

介護に疲れる前に活用! 介護保険を使った訪問入浴サービスとは?

入浴用リフトのレンタル以外にも、介護保険を活用したさまざまな入浴サービスがあります。

在宅生活を続けながら利用できる主な入浴サービスは、次の3つです。

  • 「訪問入浴」を利用して、自宅で入浴する
  • 「訪問介護」を利用して、ホームヘルパーに入浴介助をしてもらう
  • デイサービスなどに通って入浴をする

その中でも「訪問入浴」についてサービス内容や利用条件、費用などを紹介します。

訪問入浴サービスの内容

訪問入浴は、自力での入浴が困難な要介護者などが対象の入浴サービスです。

看護師と介護職が1つのチームになって、居宅へ訪問し、持参した浴槽を用いて入浴できるサービスです。

  • 自宅の浴槽が狭く、入浴用リフトや家族のサポートだけでは入浴が困難
  • 体調の変化が激しく、看護師のサポートがある中で入浴をさせたい

上記のような場合では、訪問入浴がおすすめですので、サービスの利用を検討しましょう。

訪問入浴サービスの利用条件

介護保険を活用したサービスは、要介護認定を受けなければ、利用できません。
また訪問入浴の場合、要介護認定の中でも利用できる介護度などが決まっています。

  • 要介護1〜5の認定を受けている場合
  • 医師から入浴を許可されている場合

要支援1、2の場合では、「自宅に浴室がない」などの条件付きで訪問入浴を受けられる「介護予防訪問入浴介護」と呼ばれるサービスもあります。

基本的には、要介護1以上の該当者が利用できると考えておいた方が良いです。

訪問入浴サービス利用時や当日の流れ

訪問入浴サービスを利用時は、ケアプランの作成が必要です。
ケアプランに基づいてサービスが導入されるため、ケアマネージャーにケアプラン作成を依頼しましょう。

次に、当日の流れを説明します。

  1. 健康状態を確認
  2. 脱衣、浴槽の準備など
  3. 入浴
  4. 浴槽から出る
  5. 着衣、必要時医療処置
  6. 健康状態を確認し、片付ける

バスタオルや衣類などの準備は必要ですが、その他は看護師や介護士が入浴を介助してくれます。

介護士による専門的なケアだけでなく、医学的な視点で入浴が安全に終わるように看護師がサポートする大きなメリットがあります。

その他にも、褥瘡や軟膏など医療的な処置が可能です。
入浴を含めて健康管理ができる訪問入浴サービスは、在宅介護の強い味方ですね。

訪問入浴サービスにかかる費用

訪問入浴の費用は「要介護」「要支援(介護予防訪問入浴介護)」で差が生じるほか、「全身浴」「部分浴」「清拭」でも変わります。

詳しい費用は、次の表を目安にしましょう。

お住まいの地域によっても、金額に差がありますので、担当のケアマネージャーに確認しておくと安心です。

介護度 洗浄範囲 1回あたりの費用
要介護1〜5 清拭 1,250円
部分浴 875円
清拭 875円
要支援1、2 全身浴 845円
部分浴 592円
清拭 592円

心地よく入浴ができるよう安全・安楽に介助しよう

高齢者の入浴は、清潔を保つだけでなくリフレッシュの効果もあります。

しかし、入浴手順を誤ると血圧の変動や転倒を招くため注意が必要です。

便利な介護用品を活用しながら、入浴前・中・後で高齢者の身体状況に合わせて安全に介助しましょう。

安全に入浴ができれば、心地よく入浴を楽しむことができます。

また、家族が介護疲れを感じる前に、訪問入浴などのサービスを活用する工夫をしてみましょう。

参考:厚生労働省 訪問介護及び訪問入浴介護

参考:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索

【入浴介助の方法】必要な介護用品は?訪問入浴はどんなサービス?

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