【介護ロボット】どんな種類があるの?導入の問題点は?

介護の現場では人材不足が深刻化しており、団塊の世代が75歳以上に達する2025年度には、全国で38万人の介護職員が不足すると予測されています。

人材不足対策の1つとして進められているのが、介護ロボットの開発・導入です。

平成30年4月、厚生労働省は「介護ロボットの開発・普及体制を強化します」と題する資料を発表しました。

この記事を読んでいる人の中にも、介護ロボットについて

「介護ロボットは介護の現場でどういったことができるのか?」
「介護ロボット導入がなかなか進まない原因はなぜなのか?」

と疑問を抱いている人もいるでしょう。

そこで本記事では、介護ロボットの現状種類導入の問題点について伝えていきます。

【現状】介護ロボット市場は着実に成長中

介護ロボットの市場規模は年々拡大しています。
現状をわかりやすく説明しましょう。

介護ロボット市場は37億円になる予測

国内介護ロボット市場規模(メーカー出荷金額ベース)は2021年に37億6500万円に達すると予測されています。
これには政府が介護ロボット開発に力を入れていることが影響しています。

厚生労働省は平成30年4月1日に介護ロボットの開発・普及体制を強化する取り組みを開始しました。

老健局内に「介護ロボット開発・普及推進室」を設置し、介護ロボット担当として9名の専門家を任命するなどの対策を公言しています。

さらに「ロボット技術の介護利用における重点分野」にも改定を加えました。
「移乗介助」「移動支援」「排泄支援」「見守り・コミュニケーション」「入浴支援」「介護業務支援」の6分野となり、新たに5つの重点項目が追加されています。

これらの改定が国の支援を受けやすくする原動力となり、多くのロボットが登場するきっかけを作っています。

引用:株式会社矢野経済研究所『介護ロボット市場に関する調査を実施(2018年)
参照:厚生労働省『厚生労働省における介護ロボットの開発・普及体制を強化します』
参照:厚生労働省『「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました』

介護ロボットとは何か

介護ロボットとは「3つの要素技術を有する知能化した機械システム」を備え、ロボット技術を応用した介護機器です。
利用者の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ機能を備えています。

3つの要素技術は以下のとおりです。

  • 情報を感知(センサー系)
  • 判断し(知能・制御系)
  • 動作する(駆動系)

しかし発展途上の技術であるため、あいまいな部分が多いのが実情です。
人によってさまざまな解釈がされ、明確な線引きがないとも言えるでしょう。
引用:厚生労働省『介護ロボットの開発・普及の促進』

介護ロボットの種類と具体例

では、どんな種類の介護ロボットがあるのか見ていきましょう。
支援できる領域や実際に使用されているロボットの例をあげて説明します。

1.介護支援型ロボット(移乗・入浴・排泄)

介護業務の支援を行うロボットです。
移乗、入浴、排泄などにおける介護職員の腰痛などの負担を和らげたり、要介護者の苦痛を減らし安心感を得る目的で開発されました。

具体例として「HAL®腰タイプ介護支援用」を見てみましょう。

「HAL®腰タイプ介護支援用」は装着タイプの介護支援型ロボットです。
人が体を動かす時に脳から筋肉に送られる信号を読み取り、その通りに動きます。

介護者がしようとする動きをサポートするため楽に介護が行えます。
結果的に介護動作における腰痛のリスクを減らすことができるのです。

重量約3キロと軽量かつコンパクトで女性にも使いやすいよう設計されています。
操作もシンプルでわかりやすく、必要以上の大きな力が出ないよう安全面での配慮もなされています。

さらに防水性能も加わったため、入浴介助においても利用できるようになりました。

2.自立支援型ロボット(日常生活・リハビリ)

日常生活やリハビリなどにおいて要介護者の自立を支援するロボットです。
要介護者が直接体に装着するタイプや体の一部を動かして操作するタイプなどがあります。

意欲や自信の向上を促し、生活を充実させることを目指します。

具体例としてHondaの「体重支持型歩行アシスト」(研究段階)を紹介します。

Hondaの「体重支持型歩行アシスト」(研究段階)は要介護者の歩行をアシストする自立支援型ロボットです。
要介護者の体重の一部を機器で支え、脚の筋肉や関節の負担を軽減します。

機器につながった靴を履くことで簡単に装着できますし、脚の間に装着する構造のため動きを制限しません。
自転車に乗っているような感覚で体重を支えつつ自然な歩行を実現します。

ただし開発中の試作品であり、現時点では販売などの計画はないそうです。

3.コミュニケーション型ロボット

要介護者とコミュニケーションをとり、自発的な活動を促したりメンタルケアを行ったりするロボットです。
コミュニケーションには非言語的なものも含まれます。

コミュニケーション型ロボットの一つ「パルロ」について説明しましょう。

「パルロ」は愛らしい丸いフォルムの、小さな子どもくらいの大きさのロボットです。
100人を超える顔と名前を記憶し、的確な会話を成立させるため、要介護者はまるで家族と接しているような感覚になれます。

他にもレクリエーションの司会進行を行ったり、食事のメニューや健康的な食事に関する豆知識を教えてくれたりします。

自らダンスを披露して「どうでしたか?」などと問いかけたりもします。

要介護者の会話を促し、口腔機能の向上認知機能低下予防などに貢献します。
運動機能向上や閉じこもりの予防などにも一役買っているようですね。

介護ロボット導入の問題点

介護ロボットを導入すれば、介護の負担を軽減でき人材不足を補えます。
しかし導入に踏み切れない施設は少なくありません。
導入を妨げる問題点を挙げてみましょう。

問題点1.介護ロボットの価格が高い

もっとも大きな問題が、価格が高いことです。

先に挙げた介護支援型ロボット「HAL®介護支援用(腰タイプ)」は1台約200万円、コミュニケーション型ロボット「パルロ」1台約67万円かかります。
施設にとって、かなり高額な出費です。

購入することで得られるメリットについて、明確な指標がないことも決断できない理由の一つかもしれません。

問題点2.操作に慣れるまでに時間やコストがかかる

優秀なロボットを導入しても職員が使いこなせなければ意味がありません

操作に慣れるための運用の見直しや研修には時間とコストがかかります。
機器の操作が不得意な年配の職員が多ければ、さらに負担は大きくなるでしょう。

問題点3.介護現場のニーズを満たすことができていない

介護型ロボットは機器自体が重く装着や実装に時間がかかる傾向があります。
要介護者への対応は時間と場所を選びませんので、実用的でないと評価する人もいるようです。

また、機器自体が大型なものは、設置する十分なスペースが必要です。
基本的には単一業務を行うロボットを複数設置する必要があるため、さらに多くのスペースが必要になります。

小規模な施設や都市部の限られた空間の施設では、これらを導入することは困難です。
まだまだ介護現場のニーズを満たせない部分が多いと言えるでしょう。

問題点4.人によるケアを求める意見が根強い

介護現場では人によるケアを求める意見が根強い傾向があります。

機器による介護に冷たくて事務的なイメージがあるからかもしれません。

他にも、カメラを使っての監視をプライバシーの侵害だと感じたり、ロボットに任せることの安全性を疑ったりする声もあるようです。

こうした考え方を持つ人にどう理解を求めるかが、開発や導入における重要なポイントとなるでしょう。

問題点の折り合いをつけることが介護ロボット成長のカギとなる

今後ますます介護ロボットの導入は強化されていくかもしれません。
うまく導入できれば、介護者の負担は減り、要介護者もより快適な生活を送れるようになれます。

政府もそれを後押ししていますが、その一方で導入を妨げる数々の問題があります。
超高齢化社会に向けて、これらの問題点の折り合いをつけることが必要です。

開発者には、現場の声に耳を傾けた上での技術革新が求められます。
現場の職員にも積極的に最新技術を取り入れようと歩み寄る姿勢が期待されています。

【介護ロボット】どんな種類があるの?導入の問題点は?

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