特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)何が違うの?

特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)はどちらも介護保険を利用することができる公的施設です。

混同しがちな二つの施設ですが、その役割、入居条件、費用は異なります。

この記事では特養と老健の違いを、それぞれを選ぶメリット・デメリットも合わせて紹介します。

特養と老健、施設の特徴は?

まずは、特別養護老人ホームと介護老人保健施設、2つの施設の特徴をチェックしましょう。

【特養】介護を受けながら長く生活をする施設

特養は「最後のときまで心穏やかに過ごすこと」を目的とする介護施設です。
基本的には最期まで入居し続けるので、在宅復帰は視野に入れていません。

主なサービスは身体介護を中心とした自立支援です。
例えば、

・食事や排せつ、入浴などの生活介護
・歩行訓練やマッサージなどの機能訓練
・食事内容による健康管理
・療養上必要なお世話

が受けられます。
また、レクリエーションでは居住者同士の交流を深めたり、作業を通して楽しみを見つけることもできます。

【老健】リハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設

老健は「自宅で生活できるよう機能回復すること」を目的とする介護施設です。
入居期間は原則3ヵ月で、在宅復帰を目指します。

主なサービスは身体介護と医療ケア、リハビリです。
大きな特徴は、看護や医学的な管理のもと、理学療法士などによる本格的なリハビリが受けられること。
例えば、つえや歩行器を使った歩行訓練など、自宅での生活に向けてリハビリを行います。

役割が違うとスタッフの職種内訳も違う!

特養と老健は、目的やサービスが異なるのでスタッフの種類や数が違います。
大まかに、特養は介護に特化したスタッフ、老健はリハビリに特化したスタッフが多くなっています。

ここでは利用者100人に対するスタッフの内訳を表にしました。
それぞれ違いを確認しておきましょう。

スタッフ 特養 老健
医師 1人(非常勤可) 1人(常勤のみ)
看護職員 3人 9人
介護職員 31人 25人
リハビリ専門スタッフ なし 1人(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか)

入居条件のちがい

介護施設への入居条件は施設によって違います。
一般的に入居条件は、

・年齢
・要介護度
・必要な医療支援
・保証人や身元引受人の有無
・収入

などです。
入居を希望しても入居条件に合わなければ、ほとんどの場合は入居できません。

ここでは特養と老健の一般的な条件を紹介します。
共通の原則は「自宅での生活が難しい65歳以上の要介護者」です。
施設の入居を検討している方は、参考にしてください。

【特養】原則:要介護度3~5

特養の一般的な入居条件は、「65歳以上の要介護3~5」であること。
つまり、在宅介護が困難な中重度の要介護者が対象です。

この入居条件は2015年以降に採用されました。
そのため2014年以前に入居している場合、要介護1~2の方が入居していることがあります。

現在でも要介護2以下の方が入居する、例外もあります。
例えば、

・認知症高齢者で常時見守りや介護が必要である場合
・知的障がいや精神障がいを伴い、地域での生活が困難な場合
・家族のサポートが期待できず、介護サービスや生活支援も十分でない場合
・家族などからの虐待で、安心や安全の確保が優先される場合

などです。
これら以外の場合は例外での入居はほぼ不可能、特養を利用したい方は「年齢」「要介護度」を確認してください。

【老健】要介護1~5

老健の一般的な入居条件は、「65歳以上の要介護1~5」であること。
在宅復帰を目指す施設なので、復帰見込みのある軽度の要介護者が対象です。
また40歳以上64歳以下であっても、特定疾病により要介護認定されている場合は入居できます。

ただし施設によっては追加条件があり、その条件を満たせず入居できない場合もあります。
例えば、

・入院の必要がなく、症状が急転する可能性が少ないこと
・感染症にかかっていないこと
・夜間のたん吸引や点滴などの医療行為を必要としないこと

などの条件です。
医師や看護師が常時勤務していない施設は、上記のような条件を追加していることが多いです。

設備のちがい

設備は特養や老健だけでなく、施設ごとに大きな違いがあります。
特に、施設の目的やサービスに沿った設備に注目して、施設のイメージを掴みましょう。

また居室は入居者のストレス・トラブルに繋がる重要なポイントです。
居室は特養と老健で違いはなく、

・従来型個室
・多床室
・ユニット型個室
・ユニット準個室

共通してこの4種類があります。

ここでは特養と老健の設備の違いと、各居室の紹介をします。

【特養】生活に必要な浴室やトイレ、食堂が中心

特養の特徴は、「生活に必要な設備が多いこと」です。
身体介護が中心なので、リハビリ設備はそこまで多くありません。

・居室は4人以下
・入浴に適した浴室
・トイレの広さ
・医務室の設置
・廊下の幅は手すりや常夜灯を設置

など、法令によりさまざまな基準を定められています。
入居者のストレスに配慮し、居室は個室が主流です。

【老健】生活に必要な設備に加えてリハビリ設備も充実

老健も生活に必要な設備である、居室や浴室、トイレなどは設置しています。
特養との大きな違いは、「充実したリハビリ設備があること」です。

・マッサージのためのベッド
・歩行訓練のための平行棒
・運動療法機器

などを設置しています。
しかし居室は、特養と違い多床室が主流です。

【特養・老健共通】4種類の居室タイプ

居室は「従来型個室」「多床室」「ユニット型個室」「ユニット準個室」の4種類です。
それぞれの違いを知り、どのタイプの居室が最適か考えましょう。
居室を選ぶポイントは、

・面会頻度
・プライベート空間の必要性

この2点です。
面会が多い場合は、面会者も過ごしやすく会話もしやすい個室がおすすめ。
また個室が寂しく感じ、入居者同士で仲良く会話したい場合は2~4人で過ごす相部屋がおすすめです。

<従来型個室>

従来型個室は、廊下に併設した1人1部屋の個室です。
このタイプは多床室と混在している場合が多く、多床室よりもプライベート空間が確保されているのが特徴です。

一方で、1人で過ごすことが多く居住者同士のコミュニケーションが少なくなることもあります。

<多床室>

多床室は、廊下に併設した2~4人で過ごす相部屋です。
複数人と一緒に過ごすので、入居者同士のコミュニケーションが多くなるのが特徴です。

プライベート空間の確保は難しいですが、会話の機会が増え活気ある生活に繋がることもあります。

<ユニット型個室>

ユニット型個室は、リビングなどの共有スペースに併設した1人1部屋の個室です。
個室前の共有スペースは食事やレクリエーションの際に使用します。
個室でありながら、入居者同士のコミュニケーションが多いのが特徴です。

自宅での生活に近く、共同生活のような暮らしができます。
個室は寂しいけど相部屋は不安、という方におすすめです。

<ユニット準個室>

ユニット準個室は、共用スペースに併設された準個室です。
多床室のような部屋をパーテーションなどで仕切り、プライベート空間を確保しているのが特徴です。

個室ほど入居者同士の距離が離れておらず、程よい距離感を保てます。

入居にかかる費用のちがい

特養と老健は、ともに「一時金がなく、月額費用のみ」で利用できます。
民間の介護施設と比較すると費用が格段に安く済むので、経済的な負担が抑えられます。

ここではそれぞれの月額平均と、その内訳を紹介します。

「食費っていくら掛かるの?」
「居室の種類によって費用は変わる?」
「要介護度が上がったら費用も上がる?」

という方は、ぜひ参考にしてください。

【特養】月額平均:8~13万円

特養の一般的な月額平均は8~13万円です。
民間のグループホームは月額平均が約15~30万円、さらに一時金も必要なので経済的な負担が掛かります。

ただし費用を安く抑えられる分、入居を希望者が多く待機期間が長くなる場合も。
身体的な負担と経済的な負担、どちらを優先すべきかしっかりと考えましょう。

【老健】月額平均:9~20万円

老健の一般的な月額平均は9~20万円です。
特養の月額平均よりも高いのは、リハビリ費が加算されているからです。
またリハビリの内容によって費用が変わるので、高額になってしまう場合もあります。

【特養・老健共通】月額費用の内訳

特養と老健は、費用の内訳も同じです。
どちらも、

・施設サービス費
・居住費
・食費
・その他日常生活費

この4つの合計が月額費用になります。

施設サービス費

施設サービス費は、介護サービスを受ける費用のことです。
同じ地域の施設であれば一律ですが、要介護度や居室のタイプによって費用が変動します。

要介護度は高いほど、居室は多床室・従来型・ユニット型の順に高額になります。

居住費

居住費は簡単に言うと、家賃と同じ費用です。
この費用は介護保険法に定められた目安によって算出されており、額は施設によって違います。

さらに居室のタイプによって費用が変動するので、契約する内容によっては高額になることも。
一般的に施設サービス費と同じく、多床室・従来型・ユニット型の順に高くなります。

食費

食費も居住費と同じく、介護保険法に定められた目安によって算出されています。
そのため、契約の内容や施設によって費用が変動します。

注意したいポイントは、施設で食事をとらない日の食費です。
例えば、急な外出でお昼を食べ損ねたとしても、その日の食費は3食分請求されます。
外泊や入院で数日間食事が不要な場合は、事前に申請し食費の請求がされないようにしておきましょう。

その他日常生活費

その他日常生活費は、医療費・理美容費・リハビリ費・レクリエーション費などのことです。
入居者の状態や、レクリエーション内容によって費用が変わります。

特に老健は原則3ヵ月で自宅復帰を目指すので、リハビリ費が高額になる場合もあります。

特養を選ぶメリット・デメリット

特養はとても人気のある介護施設です。

「多くの人が入居したがっているということは良い施設なはず」
「とにかく低価格の施設がいい」

という方もいるかもしれません。
しかし、入居者やその家族にとって本当に最適な施設なのでしょうか?

施設選びを失敗すると、お金だけでなく時間や体力も無駄に消費してしまう可能性もあります。
ここでは最適な施設選びのために、特養のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

特養のメリットは、

・安くサービスを受けられる
・終身利用ができるので安心
・レクリエーションやイベントがある

などです。
費用の安さは、家計に優しく特養の最大の魅力と言えます。

また終身利用は家族にとって、身体的にも精神的にも負担が軽減されるメリットです。
レクリエーションやイベントは、楽しみとしてだけでなくリハビリの一環にもなります。

デメリット

一方でデメリットは、

・入所までの待機期間が長い
・医療体制が整っていない場合がある

などです。

制度改正で以前より必要性の高い高齢者が入居できるようになりましたが、それでも多少の待機期間が必要です。

また特養は看護師の夜間常勤が義務化されておらず、夜間の医療処置ができない施設も少なくありません。
入居者によっては、病気を発症し退去しなければならない場合もあります。

老健を選ぶメリット・デメリット

次に老健のメリット・デメリットを紹介します。
老健は「自宅で生活できるよう機能回復すること」を目的としているので、退去することが前提です。
そのため、終身利用できる特養に注目が集まる傾向があります。

しかし医者が常勤しているなど、スタッフの配置は老健の方が安心です。
メリット・デメリットを知り、最適な施設選びをしましょう。

メリット

老健のメリットは、

・在宅復帰を目指せる
・十分なリハビリと設備
・手厚い医療ケア

などです。

住み慣れた自宅で生活したいと考える方にとって、在宅復帰のためのリハビリができる老健は頼もしい存在です。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門家がリハビリをサポートしてくれるので、非常に効果的です。
また老健は医療面での不安が少なく、特養よりも専門的で手厚い医療ケアが受けられます。

デメリット

デメリットは、

・長期入居できない
・リハビリ中心で自由時間が少ない
・レクリエーションやイベントがほとんどない
・居室のタイプは多床室が多い

などです。
自宅復帰を目指すためのリハビリは人によってつらく感じることも。
また、べレクリエーションやイベントがほとんどないので、楽しみが少ない場合があります。

特に注意しておきたい点が、居室のタイプです。
老健は多床室が多くプライベート空間の確保が難しいので、ストレスの原因にもなります。

施設ごとの情報収集も忘れずに!

特養と老健がどう違うのか、大まかに理解できたでしょうか?
端的に言うと、特養は最期まで穏やかに過ごすための介護施設、老健は在宅復帰のためのリハビリ施設です。

特養と老健は混同しやいですが実際には全く違うもので、選び間違えると大変です。
また施設ごとにサービスや費用、設備が異なる場合もあります。

特養であっても老健であっても、施設そのものの情報を収集するよう心がけましょう。

参照:サイト特別養護老人ホーム
参照:サイト老人保健施設

特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)何が違うの?

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