特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)はどちらも介護保険を利用することができる公的施設です。
混同しやすいこの2つの施設は、役割や入居条件、費用が異なります。
この記事では特養と老健の違いを、それぞれを選ぶメリット・デメリットも合わせて紹介します。
費用負担額も施設ごとに紹介するので、施設選びの参考にしてみてください。
特養と老健、施設の特徴は?
まずは、特別養護老人ホームと介護老人保健施設、2つの施設の特徴をチェックしましょう。
特別養護老人ホーム | 介護老人保健施設 | |
---|---|---|
施設の役割 | 身体介護や生活支援を受けながら生活する施設 | リハビリや医療ケアを受けながら自宅復帰を目指す施設 |
入居条件 | 原則要介護3~5 | 要介護1~5 |
サービス内容 | 身体介護が中心の自立支援 | 医療ケアとリハビリ中心の介護 |
入居期間 | 終身利用 | 原則3ヶ月 |
設備 | 生活に必要な設備(居室、浴室、トイレ、食堂など) | 生活に必要な設備、リハビリ設備 |
居室タイプ |
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居室面積 | 10.65㎡以上 | 8㎡以上 |
費用 |
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|
入居待ち期間 | 入居待機者が多いため、人気の施設は数ヶ月以上待つ場合もある。 | 特養よりも退去者がでやすいが、待つ場合もある。 |
【特養】介護を受けながら長く生活をする施設
特養は「最期のときまで心穏やかに過ごすこと」を目的とする介護施設です。
基本的には最期まで入居し続けるので、在宅復帰は視野に入れていません。
主なサービスは身体介護を中心とした自立支援です。
例えば
- 食事や排せつ、入浴などの生活介護
- 歩行訓練やマッサージなどの機能訓練
- 食事内容による健康管理
- 療養上必要なお世話
- 看取り介護
が受けられます。
レクリエーションでは居住者同士の交流を深めたり、作業を通して楽しみを見つけることもできます。
特養と老健のほかに、要介護状態の人を対象とした公的施設は介護療養型利用施設があります。
ただ、公的施設は入居待機者が多く、入居まで時間がかかる施設もあります。
民間型施設は公的施設と比べると費用が掛かる場合が多いですが、入居しやすいというメリットもあります。
民間型施設で要介護状態の人を対象とした施設は、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「グループホーム」があります。
民間型 | 介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | グループホーム |
---|---|---|---|
利用者の介護度 | 自立~要介護5 | 自立~要介護5 | 要支援2~要介護5 |
認知症の受け入れ | 可能 | 軽度までなら可能 | 可能 |
看取り | 施設によっては可能 | 施設によっては可能 | 不可 |
入居待ちの期間 | 短い | 短い | 長い場合もある |
【老健】リハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設
老健は「自宅で生活できるよう機能回復すること」を目的とする介護施設です。
主なサービスは身体介護と医療ケア、リハビリです。
大きな特徴は、看護や医学的な管理のもと、理学療法士などによる本格的なリハビリが受けられること。
例えば、つえや歩行器を使った歩行訓練など、自宅での生活に向けてリハビリを行います。
平成24年度の介護制度改定で、老健の在宅復帰支援機能が強化されることになりました。
施設の在宅復帰支援機能を評価し、点数が高い施設から「在宅強化型(強化型)」「在宅復帰・在宅療養支援機能加算算定施設(加算型)」「上記以外(従来型)」という3区分に分けられます。
強化型ほど在宅介護に復帰するための、リハビリ支援が整っていたり、実際の復帰率が高くなっています。
入居先選びの基準になるでしょう。
入居期間は原則3ヵ月で、在宅復帰を目指します。
3ヶ月ごとに入居を継続するべきか判定が行われ、在宅で対処できると診断されると住み続けることができません。
しかし介護保険上の期限ではないので、必ず退去しなくてはいけないわけではありません。
◆老健の平均在所日数(日)
平成29年度の厚労省の調査によると、老健の平均在所日数は最も長い療養強化型で約490日、最も短い強化型で約210日です。
老健は看取り介護は行っていない施設が多いです。
しかし一部の施設では行われていて、老健は医療設備が整っていることや、需要の高まりで、今後看取り介護を行う老健も増えてくるかもしれません。
参考:全国老人保健施設協会現場からのオピニオン~介護現場はいま~老健で看取るということ
役割が違うとスタッフの職種内訳も違う!
特養と老健は、目的やサービスが異なるのでスタッフの種類や数が違います。
大まかに、特養は介護に特化したスタッフ、老健はリハビリに特化したスタッフが多くなっています。
ここでは利用者100人に対するスタッフの内訳を表にしました。
それぞれ違いを確認しておきましょう。
職種 | 特養 | 老健 |
---|---|---|
医師 | 1人(非常勤可) | 1人(常勤のみ) |
看護職員 | 3人 | 9人 |
介護職員 | 31人 | 25人 |
リハビリ専門スタッフ | なし | 1人(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか) |
入居条件のちがい
介護施設への入居条件は施設によって違います。
一般的に入居条件は、
- 年齢
- 要介護度
- 必要な医療支援
- 保証人や身元引受人の有無
- 収入
などです。
入居を希望しても入居条件に合わなければ、ほとんどの場合は入居できません。
ここでは特養と老健の一般的な条件を紹介します。
共通の原則は「自宅での生活が難しい65歳以上の要介護者」です。
施設の入居を検討している方は、参考にしてください。
【特養】原則:要介護度3~5
特養の一般的な入居条件は、「65歳以上の要介護3~5」であること。
つまり、在宅介護が困難な中重度の要介護者が対象です。
この入居条件は2015年以降に採用されました。
そのため2014年以前に入居している場合、要介護1~2の方が入居していることがあります。
現在でも要介護2以下の方が入居する、例外もあります。
例えば、
- 認知症高齢者で常時見守りや介護が必要である場合
- 知的障がいや精神障がいを伴い、地域での生活が困難な場合
- 家族のサポートが期待できず、介護サービスや生活支援も十分でない場合
- 家族などからの虐待で、安心や安全の確保が優先される場合
などです。
特養の利用を考えるときは、「年齢」「要介護度」を確認してください。
【老健】要介護1~5
老健の一般的な入居条件は、「65歳以上の要介護1~5」であること。
在宅復帰を目指す施設なので、復帰見込みのある軽度の要介護者が対象です。
また40歳以上64歳以下であっても、特定疾病により要介護認定されている場合は入居できます。
ただし施設によっては追加条件があり、その条件を満たせず入居できない場合もあります。
例えば、
- 入院の必要がなく、症状が急転する可能性が少ないこと
- 感染症にかかっていないこと
- 夜間のたん吸引や点滴などの医療行為を必要としないこと
などの条件です。
医師や看護師が常時勤務していない施設は、上記のような条件を追加していることが多いです。
設備のちがい
設備は特養や老健だけでなく、施設ごとに大きな違いがあります。
特に、施設の目的やサービスに沿った設備に注目して、施設のイメージを掴みましょう。
居室は入居者のストレスや、トラブルに繋がる可能性がある重要なポイントです。
居室は特養と老健で違いはなく、
- 従来型個室
- 多床室
- ユニット型個室
- ユニット型個室的多床室
共通してこの4種類があります。
ここでは特養と老健の設備の違いと、各居室の紹介をします。
【特養】生活に必要な浴室やトイレ、食堂が中心
特養は、生活に必要な設備が多いです。
身体介護が中心なので、リハビリ設備はそこまで多くありません。
- 居室は4人以下
- 入浴に適した浴室
- トイレの広さ
- 医務室の設置
- 廊下の幅は手すりや常夜灯を設置
など、法令によりさまざまな基準を定められています。
入居者のストレスに配慮し、居室は個室が主流です。
【老健】生活に必要な設備に加えてリハビリ設備も充実
老健も生活に必要な設備である、居室や浴室、トイレなどは設置しています。
特養との大きな違いは、充実したリハビリ設備があることです。
- マッサージのためのベッド
- 歩行訓練のための平行棒
- 運動療法機器
などを設置しています。
居室は、特養と違い多床室が主流です。
【特養・老健共通】4種類の居室タイプ
居室は「従来型個室」「多床室」「ユニット型個室」「ユニット型個室的多床室」の4種類です。
それぞれの違いを知り、どのタイプの居室が最適か考えましょう。
居室を選ぶポイントは、
- 面会頻度
- プライベート空間の必要性
この2点です。
面会が多い場合は、面会者も過ごしやすく会話もしやすい個室がおすすめ。
個室が寂しく感じ、入居者同士で仲良く会話したい場合は2~4人で過ごす相部屋がおすすめです。
従来型個室
従来型個室は、廊下に併設した1人1部屋の個室です。
このタイプは多床室と混在している場合が多く、多床室よりもプライベート空間が確保されているのが特徴です。
一方で、1人で過ごすことが多く居住者同士のコミュニケーションが少なくなることもあります。
多床室
多床室は、廊下に併設した2~4人で過ごす相部屋です。
複数人と一緒に過ごすので、入居者同士のコミュニケーションが多くなるのが特徴です。
プライベート空間の確保は難しいですが、会話の機会が増え活気ある生活に繋がることもあります。
ユニット型個室
ユニット型個室は、リビングなどの共有スペースに併設した1人1部屋の個室です。
個室前の共有スペースは食事やレクリエーションの際に使用します。
個室でありながら、入居者同士のコミュニケーションが多いのが特徴です。
自宅での生活に近く、共同生活のような暮らしができます。
個室は寂しいけど相部屋は不安、という方におすすめです。
ユニット型個室的多床室
ユニット型個室的多床室は、以前はユニット型準個室と呼ばれていたもので、名称変更されました。
多床室のような部屋をパーテーションなどで仕切り、プライベート空間を確保しているのが特徴です。
個室ほど入居者同士の距離が離れておらず、程よい距離感を保てます。
入居にかかる費用のちがい
介護保険サービスを利用するときの利用者負担は、介護サービスにかかる費用の1割(一定以上の所得がある場合は2割または3割)です。
例えば、1万円のサービスを利用するとき支払う額は、1万円(所得によっては2万円または3万円)です。
特養や老健のような居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に決まっています。
限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担になります。
要介護度別の居宅サービスの1ヶ月あたり利用限度額 | |
---|---|
要支援1 | 50,030円 |
要支援2 | 104,730円 |
要介護1 | 166,920円 |
要介護2 | 196,160円 |
要介護3 | 269,310円 |
要介護4 | 308,060円 |
要介護5 | 360,650円 |
特養と老健は、ともに「入居一時金がなく、月額費用のみ」で利用できます。
民間の介護施設と比較すると費用が格段に安く済むので、経済的な負担が抑えられます。
ここではそれぞれの月額平均と、その内訳を紹介します。
「食費はいくら掛かるの?」
「居室の種類によって費用は変わる?」
「要介護度が上がったら費用も上がる?」
「介護サービス加算ってなに?」
という人は、ぜひ参考にしてください。
【特養】月額平均:8~13万円
特養の一般的な月額平均は8~13万円です。
<特養の1ヶ月あたりの自己負担の目安>
◆要介護5の人が多床室を利用した場合
施設サービス費の1割 | 約25,000円 |
---|---|
居住費 | 約25,000円(840円/日) |
食費 | 約42,000円(1,380円/日) |
日常生活費 | 約10,000円(施設設定) |
合計 | 約102,200円 |
◆要介護5の人がユニット型個室を利用した場合
施設サービス費の1割 | 約27,500円 |
---|---|
居住費 | 約60,000円(1,970円/日) |
食費 | 約42,000円(1,380円/日) |
日常生活費 | 約10,000円(施設設定) |
合計 | 約139,500円 |
民間のグループホームは月額平均が約15~30万円、さらに一時金も必要なので経済的な負担が掛かります。
特養は公的施設で費用を安く抑えられる分、入居を希望者が多く待機期間が長くなる場合も。
身体的な負担と経済的な負担、どちらを優先すべきかしっかりと考えましょう。
【老健】月額平均:9~20万円
老健の一般的な月額平均は9~20万円です。
特養の月額平均よりも高いのは、リハビリ費が加算されているからです。
リハビリの内容によって費用が変わるので、高額になる場合もあります。
費用は、施設サービス費+居住費・食費+日常生活費(理美容代)等です。
<施設サービス費>
◆(従来型)介護保険施設サービス費(Ⅰ)
個室 | 多床室 | |||
---|---|---|---|---|
従来型(ⅰ) | 在宅強化型(ⅱ) | 従来型(ⅲ) | 在宅強化型(iv) | |
要介護1 | 698円 | 739円 | 771円 | 818円 |
要介護2 | 743円 | 810円 | 819円 | 892円 |
要介護3 | 804円 | 872円 | 880円 | 954円 |
要介護4 | 856円 | 928円 | 931円 | 1,010円 |
要介護5 | 907円 | 983円 | 984円 | 1,065円 |
◆ユニット型介護保険施設サービス費(Ⅰ)
個室 | 個室多床室 | |||
---|---|---|---|---|
従来型(ⅰ) | 在宅強化型(ⅱ) | 従来型(ⅲ) | 在宅強化型(iv) | |
要介護1 | 770円 | 822円 | 777円 | 822円 |
要介護2 | 822円 | 896円 | 822円 | 896円 |
要介護3 | 884円 | 958円 | 884円 | 958円 |
要介護4 | 937円 | 1,014円 | 937円 | 1,014円 |
要介護5 | 988円 | 1,069円 | 988円 | 1,069円 |
この施設サービス費に、居住費・食費が加算されます。
<居住費・食費>
区分 | 費用の内容 | |
---|---|---|
食費 | 食材料費+調理費 | |
居住費 |
|
室料+光熱費相当 |
多床室 | 光熱費相当 |
【特養・老健共通】月額費用の内訳
特養と老健は、費用の内訳も同じです。
- 施設サービス費
- 居住費
- 食費
- その他日常生活費
どちらもこの4つの合計が月額費用になります。
施設サービス費
施設サービス費は、介護サービスを受ける費用のことです。
同じ地域の施設であれば一律ですが、要介護度や居室のタイプによって費用が変動します。
要介護度は高いほど、居室は多床室・従来型・ユニット型の順に高額になります。
介護サービス加算とは、施設の設備や職員の体制、対応する処置やサービスなどによって基本料に加算される施設介護サービス費のことです。
施設によって加算徴収の内容は異なります。
【特養】主な介護サービス加算
- 初期加算
- 日常生活継続支援加算
- サービス提供体制強化加算
- 看護体制加算
- 夜勤職員配置加算 など
【老健】主な介護サービス加算
- 短期的なリハビリテーションの実施
- 在宅復帰・在宅療養支援
- ターミナルケアの実施
- 夜勤職員の手厚い配置
- 介護職員処遇改善加算 など
介護サービス加算が多いほど、人員が豊富で手厚いサービスを行っていると考えられます。
自己負担額は、入居者本人とその配偶者、子供(扶養義務を負っている人)の収入に応じて、1~3割の負担額が決定します。
居住費
居住費は簡単に言うと、家賃と同じ費用です。
この費用は介護保険法に定められた目安によって算出されており、額は施設によって違います。
さらに居室のタイプによって費用が変動するので、契約する内容によっては高額になることも。
一般的に施設サービス費と同じく、多床室・従来型・ユニット型の順に高くなります。
食費
食費も居住費と同じく、介護保険法に定められた目安によって算出されています。
そのため、契約の内容や施設によって費用が変動します。
注意したいポイントは、施設で食事をとらない日の食費です。
例えば、急な外出でお昼を食べ損ねたとしても、その日の食費は3食分請求されます。
外泊や入院で数日間食事が不要な場合は、事前に申請し食費の請求がされないようにしておきましょう。
その他日常生活費
その他日常生活費は、医療費・理美容費・リハビリ費・レクリエーション費などのことです。
入居者の状態や、レクリエーション内容によって費用が変わります。
特に老健は原則3ヵ月で自宅復帰を目指すので、リハビリ費が高額になる場合もあります。
【特定入所者介護サービス費】費用を軽減してくれる制度って?
特養と老健は居住サービスの中では比較的安価とはいえ、毎月万単位のお金がかかります。
所得の少ない介護施設利用者のために、「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」という制度があります。
ショートステイを含む介護保険施設の利用料のうち、居住費と食費の軽減措置が受けられます。
利用するには条件があります。
- 同一世帯でない配偶者も住民税が非課税である
- 預貯金額が一定額以下であること
- 配偶者がいない場合:本人の預貯金等の合計額が、1000万円以下
- 配偶者がいる場合:本人及び配偶者の預貯金額の合計額が、2000万円以下
※「同一世帯でない」は世帯分離も含む。「配偶者」は内縁関係も含む。
引用元:厚生労働省Ⅱ費用負担の見直し
さらに市区町村の役場の介護保険担当窓口に申請し、負担限度額の認定証の交付を受ける必要があります。
負担限度額は所得段階、施設の種類、部屋のタイプによって異なります。
◆特養(介護老人福祉施設)、短期入所生活介護の場合(日額)
基準費用額(日額) | 負担限度額(日額) | ||||
---|---|---|---|---|---|
第1段階 | 第2段階 | 第3段階 | |||
食費 | 1,380円 | 300円 | 390円 | 650円 | |
居住費 | ユニット型個室 | 1,970円 | 820円 | 820円 | 1,310円 |
ユニット型個室多床室 | 1,640円 | 490円 | 490円 | 820円 | |
従来型個室 | 1,150円 | 320円 | 420円 | 820円 | |
多床室 | 840円 | 0円 | 370円 | 370円 |
◆老健、介護療養型医療施設、短期入所療養介護の場合(日額)
基準費用額(日額) | 負担限度額(日額) | ||||
---|---|---|---|---|---|
第1段階 | 第2段階 | 第3段階 | |||
食費 | 1,380円 | 300円 | 390円 | 650円 | |
居住費 | ユニット型個室 | 1,970円 | 820円 | 820円 | 1,310円 |
ユニット型個室多床室 | 1,640円 | 490円 | 490円 | 820円 | |
先行型個室 | 1,640円 | 490円 | 490円 | 1,310円 | |
多床室 | 370円 | 0円 | 370円 | 370円 |
負担限度額は日額で表記しています。
月額になるとだいぶ負担が軽くなりそうです。
詳しくは、お住まいの地域の地域包括支援センターに確認してみて下さい。
介護や福祉の総合相談窓口です。
相談をする場合は、介護を受ける人の居住地の地域包括センターに問い合わせましょう。
特養・老健を選ぶメリット・デメリット
特養と老健は人気の介護施設です。
ここまで2つの施設の違いを紹介しました。
施設選びを失敗すると、お金だけでなく時間や体力も無駄に消費してしまう可能性もあります。
最適な施設選びのために、特養と老健それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
特養 | 老健 | |
---|---|---|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
特養メリット
特養のメリットは、
- 低価格でサービスを受けられる
- 終身利用ができるので安心
- レクリエーションやイベントがある
- 居住費にベッドなどの費用が含まれている
などです。
費用の安さは、家計に優しく特養の最大の魅力といえます。
終身利用は家族にとって、身体的、精神的に負担が軽減されるメリットです。
レクリエーションやイベントは、楽しみとしてだけでなくリハビリの一環にもなります。
特養は有料老人ホームと異なり、居住費にベッドなどの費用が含まれています。
自分で用意する必要がないので、その分の手間が省けますね。
特養デメリット
一方でデメリットは、
- 入居待ち期間が長い
- 医療体制が整っていない場合がある
- 医療行為はすべて医療保険を利用して、施設サービス費と別に負担する必要がある
などです。
制度改正で以前より必要性の高い高齢者が入居できるようになりましたが、それでも多少の待機期間が必要です。
また特養は看護師の夜間常勤が義務化されておらず、夜間の医療処置ができない施設も少なくありません。
入居者によっては、病気を発症し退去しなければならない場合もあります。
医療費が施設サービス費に含まれていないので、治療を受ける場合は別途料金が発生します。
老健メリット
老健のメリットは、
- 在宅復帰を目指せる
- 充実したリハビリ設備と専門家のサポート
- 手厚い医療ケア
- 日常的な医療費が施設サービス費に含まれているので、別途医療費がかからない
などです。
住み慣れた自宅で生活したいと考える方にとって、在宅復帰のためのリハビリができる老健は頼もしい存在です。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門家がリハビリをサポートしてくれるので、非常に効果的です。
また老健は医療面での不安が少なく、特養よりも専門的で手厚い医療ケアが受けられます。
老健では日常的な医療行為に対する医療費が、はじめから施設サービス費に含まれています。
日常的な医療行為とは、血液や尿などの検査や傷を消毒するなどの処置、その他投薬や注射などです。
入居している間は、該当する治療を医療費の心配なく受けることができます。
老健デメリット
デメリットは、
- 長期入居できない
- 生活はリハビリ中心で自由時間が少ない
- レクリエーションやイベントがほとんどない
- 居室のタイプは多床室が多い
などです。
自宅復帰を目指すためのリハビリは人によってつらく感じることも。
レクリエーションやイベントがほとんどないので、楽しみが少ない場合があります。
注意しておきたい点が、居室のタイプです。
老健は多床室が多くプライベート空間の確保が難しいので、ストレスの原因になることもあります。
まとめ
特養と老健がどう違うのか、大まかに理解できたでしょうか?
端的にいうと、特養は最期まで穏やかに過ごすための介護施設、老健は在宅復帰のためのリハビリ施設です。
特養と老健は混同しやいですが全く違うものなので、選び間違えると大変です。
施設ごとにサービスや費用、設備が異なる場合もあります。
どちらの施設を選ぶ際も、施設そのものの情報を収集するよう心がけましょう。
参照:サイト特別養護老人ホーム
参照:サイト老人保健施設