介護職の離職率はどれくらい?他業種と比べて高い理由は?

他の業種よりも離職率の高い介護職。
施設の利用者に充実したサービスを提供するためには、離職率を下げて人手不足にならないようにする必要があります。
そのためには離職の現状を把握し、適切な改善を図ることが大切。

今回は離職率の現状離職理由改善方法について紹介していきます。

介護職の離職率の推移と現状

介護労働安定センターの調査によると、平成28年10月1日から29年9月30日までの介護職の離職率は16.2%でした。

参照:サイト※介護労働安定センター「介護労働実態調査」

介護職の離職率は近年、低下傾向にありますが、産業計などの他職種と比較すると、やや高い水準となっています。
その詳細や理由について考えてみましょう。

参照:サイト※介護労働安定センター「平成25年度介護労働実態調査」11p

介護職の新卒の離職率

平成27年3月に卒業した高卒就職者の就職後3年以内の離職率は39.3%、大卒就職者の場合は31.8%です。

では、医療・福祉の仕事に携わる新卒の離職率はどうなのでしょうか。
結果は、高卒就職者47.0%、大卒就職者37.8%となっています。

離職率の高い産業別にみると高卒はワースト5位、大卒はワースト4位にランクインしています。
医療・福祉業界は、新卒者の離職率が比較的高いことがわかります。

参照:サイト※厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況

採用率が増えない理由

一方、平成28年10月1日から平成29年9月30日までの介護職の採用率は17.8%

産業計の採用率は20~25%くらいで推移していますので、こちらもけっして高いとは言えません。
採用率が増えないのには、以下のような理由が考えられます。

参照:サイト※介護労働安定センター「平成25年度介護労働実態調査」11p

参照:サイト※介護労働安定センター「介護労働実態調査」

1.3K(きつい、汚い、危険)のイメージが抜けていない

介護は寝たきりや認知症の高齢者のお世話をする仕事です。
必然的に入浴介助や体位変換、車いすへの移乗などの重労働に携わる機会が多くなります。

オムツ交換やトイレ誘導など、排泄物に触れる機会も頻繁にあります。
これらの業務によって、腰を痛めたり感染症にかかったりする危険もゼロではありません。

確かに「きつい、汚い、危険」という一面があることは事実でしょう。
しかし一方で、悪いイメージが先行するあまり、良いイメージが認識されにくくなっているとも言えます。

2.給料が安い

さまざまな条件が左右するため比較は難しいですが、一般的に介護職員の平均賃金の水準は産業計と比較して低い傾向があります。

参照:サイト※介護労働安定センター「平成25年度介護労働実態調査」19p

しかし、近年「介護職員処遇改善加算」などの制度適用により、介護職の給料は徐々に改善され始めています。

この事実を把握しておらず「給料が安い」という固定観念を持ち続けている人も少なくありません。

さらに「介護職員処遇改善加算」には介護事業所の取り組みや方針によって支給額に差が生じるという欠点もあります。

正確な情報を発信することが採用率アップの鍵となるのかもしれませんね。

介護職の離職理由

介護職の離職理由として1位に挙げられるのが、職場の人間関係の問題であり、全体の24.7%を占めています。

次に挙げられるのが、施設などへの理念や方針への不満で、こちらは23.3%です。

これら上位2つの理由で離職理由の約半数を占めることになります。
それぞれの中身を詳しくみてみましょう。

参照:サイト介護労働安定センター「平成25年度介護労働実態調査」26p

職場の人間関係

介護現場には人間関係のトラブルを招きやすいポイントが、いくつかあります。

一つ目は、さまざまな職種のスタッフの存在です。
看護師など医療行為を行える職員もいれば、無資格の職員もいます。

中には、医療行為ができる職員が偉いと勘違いして、高圧的な態度を取る職員も存在します。
これが、部署内での派閥によるいざこざに発展することも少なくありません。

チームでの仕事なのでであるため他の職員への不満が蓄積されやすいことも、この傾向を助長していると言えるでしょう。

二つ目は職員同士がコミュニケーション不足に陥りやすい環境であることです。

業務が忙しく、じっくりと話をする機会が持てないことが原因として考えられます。
夜勤や早出、遅出業務など、勤務時間がまちまちであることも影響しているかもしれません。

三つ目はストレスがたまりやすい現場であることです。

日々忙しく体力的にきつい業務であることが主な原因です。

理念や方針への不満

理念や方針に対する不満は、責任者に対する不満でもあります。
特に問題視されるのは、利用者や介護業務に関心がなく現場に任せきりの責任者と園師悦の理念や方針です。

担当者にすべて任せる方針の施設は、担当者の負担とプレッシャーは相当なものに。

問題が生じたときに介護士をフォローする体制が整っていない場合、追い詰められて体調を崩す職員も出るかもしれません。。

基本的に職員に対する労いが乏しい方針の施設での離職率は高い傾向があります。

また、職員のキャリアアップに関して方向性が不明瞭な施設も離職率が高いと言えます。

キャリアアップを重ねている先輩がいない、資格を取得してもきちんと評価しないなどは大きなマイナスポイントです。

昇給や給料アップなどの具体的な呈示により、方向性を明確化する必要があります。

介護職の離職率を下げるための改善方法

では、離職率を下げるための改善方法とは何なのでしょうか。
項目ごとにわかりやすく説明しましょう。

職員の教育

新しい職場に入社した当初は、希望に満ちて仕事に対する意欲も十分あったはずです。
しかし、業務に追われて余裕がなくなり、その目標を見失ってしまう人も少なくありません。

職場で定期的な勉強会を開催して、目標を再確認する必要があります。
しかし、せっかく開催しても、それが職員の不満を助長するものになるのでは意味がありません。

主催者は時間や準備の面で、勉強会が職員の負担にならないよう配慮する必要があります。
職員が自発的に参加したいと思える勉強会にすることも大切です。

例えば、勉強会によってマニュアルが完成したり、仕事の負担が減ったり、利用者が喜んでくれたりすれば、参加者もやる気がでます。

プラスになった、得るものがあったと職員が思える勉強会を目指しましょう。

職員に対する評価の明確化

職員に対する1人1人の存在価値を明確化することも、離職を減らすのに役立ちます。
つまりフィードバックをすることが職員への労いにつながり、やりがいを感じやすくなるのです。

ほんの些細なことでもかまいません。

「ナースコールに素早く対応してくれる」
「利用者さんへの口調が優しくて評判がいい」
「カルテの記載がわかりやすく申し送りも要点が明確だ」

などのちょっとした気づきを施設責任者や上司が口にするだけで良いのです。

ただし「頑張っている」などという抽象的な評価ではなく、評価された側も納得できる具体的な評価である必要があります。

そのためには評価の基準となる指針が必要ですし、評価する側が職員各に関心を持ち、よく知る必要があります。

業務の効率化

業務を効率化することは、現場の負担の軽減につながります。

計画書や報告書などの事務作業に追われ、毎日、残業続きという職員も少なくありません。
これらの業務を効率的に行える仕組み造りやサービス導入は、離職を防ぐためには欠かせないのです。

一例として、IT化を促すことが挙げられます。
負担料金の発生や、慣れるまでの混乱、高齢スタッフが対応できにくいなどの問題はありますが、活用できれば仕事の効率は劇的にアップします。

また、職員自体の意識改革も大きなポイントです。
例えば、次に起こる事態を予測してあらかじめ行動し、準備しておくと不測の事態にもあわてず対処できます。

「入浴したら粗相をするかもしれない」と予測してシャワー浴に変更するなどが、これにあたります。
粗相した場合の風呂掃除や消毒、スケジュールの変更などのトラブルを未然に防ぎ、スムーズに業務をこなすことができます。

意識が定着すれば、次に引き継ぐ人が効率よく仕事するには、どうすればよいかまで考えられるようになります。
これは人間関係の改善にもつながります。

隙間時間を有効に活用し雑務をこなす職員も増えてくるでしょう。
みんなで行えば大きな成果につながります。

ただし、利用者に対する業務の効率化が難しいことは理解しておかねばなりません。

利用者をせかすことが事故につながったり、心理的ストレスを生じたりする恐れがあります。

現状の把握と改善がポイント

離職率を下げるためには、現状を把握した上での改善が必要です。

現状の理解が不十分なまま、思い込みや先走りで行動すると、状況を悪化させることもあります。

最悪の場合、さらに多くの職員を失うことにもなりかねません。
特に人間関係のトラブルは、細心の注意を払う必要があります。

責任者自身が人を見る目や全体像を見極める力を備えておくことも重要になるでしょう。

介護職の離職率はどれくらい?他業種と比べて高い理由は?

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