介護うつ、原因と対策は?症状のチェックリスト

「介護うつ」という言葉が昨今聞かれるようになりました。

介護うつとは、文字通り介護による疲労やストレスが溜まってうつ病を発症してしまうこと

特に、人一倍責任感の強い人や真面目な人がかかりやすいと言われています。

この記事では、介護うつの原因と対策について伝えていきます。

介護うつを予防するための事前対策や、もしなってしまった場合の治療法についても一緒に見ていきましょう。

「介護うつ」とは

介護うつとは、介護による精神的・肉体的ストレスが負担となり、介護者がうつ病を発症してしまうことです。

「介護うつ」という病名があるわけではありませんが、れっきとした病気であり、治療が必要になることもあります。

【実態】介護のイライラが募って高齢者虐待につながることも

介護によるイライラが募り、被介護者(高齢者)への虐待につながってしまうケースがあります。

厚生労働省が平成28年度に調査した結果によりますと、高齢者虐待と認められた件数は、

  • 要介護施設(要介護施設又は居宅サービスなど)従事者によるものが452件
  • 養護者(家族、親族、同居人等)によるものが16,384件

と、いずれも前年より増加しています。

特に、養護者による虐待の発生原因について見てみますと、

「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」1,241 件(27.4%)
「虐待者の障害・疾病」964 件(21.3%)
「経済的困窮(経済的問題)」670 件(14.8%)

という結果が出ており、介護疲れやストレスが原因となるケースが最多です。

悲惨なことに、虐待による死亡例も毎年度20〜30件発生してしまっているという実態があります。

こういった実態を踏まえ、各自治体は「高齢者虐待の対応窓口を住民へ周知」したり、「保健医療福祉サービス介入支援ネットワークの構築」といったさまざまな取り組みを行っています。

介護に関わる個人レベルでも、疲労が蓄積して介護うつとならないための予防が必要です。

こんな症状ありませんか?介護うつチェックリスト

以下に、介護うつに見られやすい症状を示します。

◯個以上当てはまったら介護うつ!と断定するものではありませんが、自身の体調を自覚し、早期予防のきっかけとして欲しいと思います。

  • 以前と比べて食欲がなくなった
  • 何を食べてもおいしいと感じられなくなった
  • あまり食べなくなり体重が減少した
  • 寝付きが悪くなった
  • 夜中に何度も目が覚めてしまう
  • 早朝に目覚めてしまう
  • 疲れやすくなった
  • 肩こりや頭痛がひどくなった
  • イライラすることが多く気持ちが落ち着かない
  • 人と出かけたり会話することが億劫である
  • 何事も悪いように考えてしまう

疲労だけじゃない!介護うつの原因

介護うつの原因は、疲れやストレスだけではありません。

自分の病気やお金、人間関係、自由にできる時間がないことなども介護うつの原因となります。

厚生労働省が平成28年に公表した「国民生活基礎調査の概況」によりますと、介護者の悩みの原因の割合は多い順に以下の通りです。

  • 家族の病気や介護
  • 自分の病気や介護
  • 収入・家計・借金等
  • 家族との人間関係
  • 自由にできる時間がない
  • 自分の仕事
  • 家事
  • 住まいや生活環境
  • 家族以外との人間関係
  • 生きがいに関すること

このように、さまざまな要因が介護うつを引き起こし得ますので「体調管理さえしておけば良いだろう」「人間関係が良好だから大丈夫だろう」とは一概に言えないことが分かります。

介護うつを予防するための5つの事前対策

介護うつを予防するための事前対策としては、次のような行動や意識があります。

対策1.食事と睡眠をしっかり取る
対策2.自分の時間を確保する
対策3.何もかも一人で行おうとしない
対策4.地域包括支援センターや病院の窓口へ相談する
対策5.介護施設を利用し負担を軽減する

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

対策1.食事と睡眠をしっかり取る

まず、介護する立場であるあなた自身の健康を大事にすることです。

介護が始まるとどうしても被介護者中心の生活になってしまい、自身の健康をおろそかにしてしまいがちです。

「忙しいから」と食事を抜いたり、睡眠時間を削る生活が続いていませんか?

食事と睡眠はしっかり取るよう心がけ、まずは自身が健やかであることが大切だと意識しましょう。

「そうは言っても、やっぱり時間がない。自分の自由にできる時間も欲しいし……」という人も多いでしょう。

その場合は、対策5で詳しくお伝えしますが、介護施設の利用も検討しましょう。

対策2.自分の時間を確保する

2つ目の対策は「自分の時間を確保する」ということです。

一日の大半を介護に費やし、好きなことをしたり時には友人らと愚痴を含めて楽しくおしゃべりする時間が持てないようですと、次第にストレスが溜まっていきます。

特に、一対一で自宅介護をしている場合は、閉塞感を感じやすくなります。

その場合はデイサービスやショートステイを利用し、少しでも自分の時間を確保するようにしましょう。

対策3.何もかも一人で行おうとしない

介護うつは責任感の強い人ほどかかりやすいものです。

そういった人は「自分しかいないんだから、自分が頑張らなきゃ」「他の家族に迷惑をかけないようしなきゃ」などと思いがちです。

まずはその思い込みを捨てましょう。

「何もかも私一人でやらなくては」ではなく、例えば「他の家族にも協力してもらえることはないか」をあらためて考えたり、家庭内だけでなく地域の相談窓口やサービスを利用できないかといったりしたことも検討します。

介護は、さまざまな人との連携が必須です。

時には外野からあなたを責める人もいるでしょうが、口は出しても手は出さない人達の言葉を真に受ける必要はありません。

「介護は私だけがするものじゃない。協力・連携しなければやっていけないものなんだ」と気づくことが大切です。

対策4.地域包括支援センターや病院の窓口へ相談する

介護は一人でするものではなく、協力・連携が必須です。

困った時、一人でどうしようもない時などは、行政が設置する機関や病院の窓口を気軽に利用しましょう。

例えば、無料で相談できる「地域包括支援センター」があります。

地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員といった3種類の専門家を配置し、住民に必要な援助を行うことを目的としています。

他にも、市町村の高齢福祉課窓口では、認知症対策や介護サービスに関する相談などを受け付けています。

対策5.介護施設を利用し負担を軽減する

介護施設の利用も介護うつ防止につながります。

肉体的な負担が軽減されることはもちろん、施設の職員や専門家と話すことで、介護における実践的で正しい知識が身につきます。

自分の時間も確保できますし、利用者同士の交流を楽しむことで気分転換にも役立つでしょう。

介護うつになってしまった場合の治療法

もし介護うつになってしまった場合は、適切な治療が必要です。

うつの治療には、休養、精神療法、薬物療法などがあります。

精神療法……医師やカウンセラーなどと対話しながら、問題を解決する方法を探します。具体的には、認知療法や対人関係療法があります。

薬物療法……抗うつ薬の服用を開始します。副作用(頭痛・倦怠感・下痢・便秘・吐き気など)を抑えるために、最初は少量から、徐々に適切な服用量へ調整をかけていきます。

「体の不調が続いていて、おかしいな」と思うことがあれば、まずは医師へ相談しましょう。

介護うつ防止のため事前対策しましょう

いかがでしたか?

介護うつの原因と対策について見てきました。

介護うつは、自覚がないまま進行が進むこともある病気です。
治療には時間がかかりまし、再発することもあります。

少しでも体の異変や違和感を感じる場合は、まずは医師に診てもらいましょう。

介護は、被介護者だけでなく介護者が健康ではなくては長続きしません。

気負い過ぎや頑張り過ぎも介護うつにつながってしまうことがあります。

「私が頑張らなきゃ」という思い込みを捨て、協力してくれる人や相談窓口を気軽に利用しましょう。

参考:厚生労働省 平成 28 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

参考:厚生労働省 地域包括支援センターの業務

参考:塩野義製薬 うつ病の治療

出典:書籍『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版
』太田 差惠子

介護うつ、原因と対策は?症状のチェックリスト

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