「介護疲れ」をどう乗り切る?ストレスを減らす対処法は?

介護うつや介護離職などさまざまな問題を引き起こす「介護疲れ」は、介護をしている人であれば誰にでも起こりえます。

この記事を読んでいる方の中にも、

「現在家で親の介護をしているが、肉体的にも精神的に疲れを感じている」
「介護疲れへの具体的な対策を知りたい」

と悩んでいる方が多いと思います。

そこでこの記事では、介護疲れの実態乗り切り方具体的な対策についてお伝えします。

今抱えている負担を軽減するため、相談できる窓口や、利用できる制度行政サービスなどについても一緒に見ていきましょう。

介護疲れが原因で引き起こされる問題

近年、介護疲れが原因で引き起こされる様々なトラブルが、社会問題として取り上げられています。
「私だけは大丈夫、私さえ我慢すれば」などという思いが、事態を深刻化させることもあるようです。
どのような問題があるのか、わかりやすく説明します。

1.介護離職

総務省統計による「平成29年就業構造基本調査」によると、過去1年間に「介護・看護のため」に前職を離職した人は9万9千人で、内8割女性が占めています。

離職によって、経済的な不安や、キャリアの中断による今後への影響、社会との断絶などが懸念されますので、安易な決断はおすすめできません。
しかし、両立には様々な困難が伴うため、苦渋の決断を下す方も少なくないようです。
参考:総務省統計「平成 29 年就業構造基本調査」

2.介護うつ

介護疲れの影響が精神面に及び、「介護うつ」を発症することがあります。
症状として食欲不振睡眠障害倦怠感憂鬱な気分不安感などが挙げられます。

一時的なものであれば様子をみてもかまいませんが、上記の症状が2週間以上続くようなら、発症を疑うべきです。
大丈夫だなどと自己判断せずに、早めに対処するようにしましょう。

また、まじめで几帳面な方、責任感が強く完璧主義の方は、発症しやすいと言われています。

「まわりに迷惑をかけてはいけない」と、一人で頑張ってしまい、周囲に助けを求められなくなり、精神的に追い詰められてしまうのです。

介護は、重労働などの身体的な負担が大きいだけではありません。
準備や覚悟なしに急に始まるものであり、子育てと違って終わりが見えません。

尊敬していた母親や父親が老いていくことのショック、認知症の対応の難しさ、周りの非協力的な態度への失望など、精神的な負担も想像以上に大きいのです。

介護している本人が、まず、この自覚を持つことが重要です。

介護者が休息できるための支援を「レスパイトケア」と言います。

この支援を受けること、要求することに罪悪感を持つ必要はないのだと認識しましょう。

それが介護うつ予防の第一歩です。

3.介護疲れによる自殺

非常に残念で悲しいことですが、介護疲れによる自殺者も増えています。

平成29年の厚生労働省 自殺統計によると、この年の自殺者は合計2万1681人。

そのうち「介護・看病疲れ」で自殺してしまった人は206人もいます。

参考:厚生労働省 自殺統計(最新・H29)

4.無理心中や殺人事件

介護疲れが、無理心中殺人事件などに発展してしまうこともあります。

このような事件がニュースで取り沙汰される度に、やりきれない気持ちになります。

しかし、事件を起こしてしまった方々も、けっして最初から、このような事態を想定していたわけではなかったはずですよね。

今現在、介護されている方が「少し疲れているな」と感じているなら、その疲れが徐々に、ご自身を追い詰めていく可能性もゼロではありません。

最悪の事態を絶対に招かないためにも、早めに対策を講じていきましょう。

【対策】介護疲れが引き起こす諸問題への対策

これまで「早めの対策が大事である」ことを述べてきました。

では、具体的にどのような対策を講じるべきなのでしょうか。
それぞれのケースに応じて説明しましょう。

介護離職してしまう前にとれる対策

1.介護休業制度を利用する

介護休業制度とは、労働者が特定の条件に該当する要介護状態の家族を介護するために仕事を休業できる制度です。
仕事と介護を両立させるための準備期間だとも言えるでしょう。

期間は対象家族1人につき、通算93日までであり、回数は対象家族1人につき3回とされています。

ただし、取得するためには申出時点において、入社1年以上の要件を満たす必要があります。

2.介護休業給付金をもらう

雇用保険の一般被保険者の方が、家族を介護するために介護休業を取得した場合、特定の条件を満たせば介護休業給付金の支給を受けることが可能です。

支給を受ける際には、介護休業終了後の定められた期間(終了日の翌日~2か月を経過する日の属する月の末日まで)に申請手続きを行う必要があります。

支給額は、原則として、休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。

介護は経済的負担が大きいですし、休業中に給付金が支給されることは気持ちの上でも大きな支えになります。
忘れずに手続きを行いましょう。

経済負担を軽減するための対策

1.介護保険制度を利用する

介護保険制度とは、介護が必要となった際に適切なサービスを受けられるように、社会全体で助け合うことを目的として制定された制度です。

対象者は40歳以上で、40~64歳までの「第2号被験者」65歳以上の「第1号被験者」に分かれています。

双方とも、介護が必要であると認定されると、サービスなどを受ける際に介護給付を受けることができます。

ただし「第2号被保険者」は、末期がんや関節リウマチなどの特定疾患に該当するケースのみに限られます。

利用するなら、まずは市町村の窓口に相談し、要介護認定を受けましょう。

その後、認定に基づいて、ケアプランを作成しサービスなどの提供を受けます。

利用者の費用負担は原則として1割ですが、所得によって負担額が異なります。

2.紙おむつ給付サービスを利用する

在宅で介護を要するオムツが必要な高齢者などに対して、おむつの給付を行う制度です。

各自治体によって、呼び名や利用料、申請先などが異なりますので、自治体のホームページなどで確認してみましょう。

相談できる窓口を知る

1.地域包括支援センター

介護相談の最初の窓口となる施設で、各市区町村に1つずつ設置されています。
保健師(看護師)・社会福祉士・主任ケアマネージャーなどのスタッフが、それぞれの専門性を活かしながら、介護に関する業務に取り組んでいます。

主な業務は、高齢者に関するさまざまな相談を受け、制度や社会資源の紹介を行ったり、介護予防ケアプランを作成したりする業務です。

また、高齢者の権利を守るため、詐欺や虐待などから高齢者を守る取り組みにも従事しています。

相談料は無料ですので、困ったことがあれば、まず相談してみるとよいでしょう。

2.社会福祉協議会

社会福祉活動を推進することを目的とした民間の組織です。
「市区町村社会福祉協議会」では、訪問介護や配食サービスなどの様々なサービスを行っている他、ボランティアの調整や相談などにも応じています。

「都道府県社会福祉協議会」では、福祉サービスに関する苦情の相談など、福祉サービスの質の向上を図る取り組みを行っています。

他にも、判断力の低下を支援したり、経済的な不安を抱える方に低利で資金を貸し付けたりするなど、幅広い対応を行っている施設です。

3.保健センター

住民により密着した保健サービスを担うために市区町村に設置されている施設であり、高齢者の健康寿命を伸ばすための事業に取り組んでいます。

検診や健康相談、健康手帳の交付、健康講座や家庭訪問指導などを行っていますが、地域によってサービス内容は少しずつ違うようです。

徘徊や一人暮らし、見守りなどに対して、きめ細かいサービスを提供している自治体もありますので、ホームページや広報誌などで確認してみるとよいでしょう。

4.民生委員

厚生労働大臣から委託され、地域の住民の立場に立って相談に応じる方々を指します。
住民の生活状況を把握した上で、福祉に関する必要な情報を提供し、依頼や調整、支援などを行います。

地域の交流が少なくなった昨今において、社会奉仕の精神をもった身近な方の助言や心配りは、非常にためになりますし心強いものです。

ただし、相性の良し悪しもありますので、一度お会いしてみることから始めるとよいかもしれません。

5.身近な相談相手

ここまで、主に行政窓口を案内してきました。
でも、身近な存在で頼ることができたり、愚痴を聞いてもらえたりする誰かがいるなら、ずいぶん負担が軽く感じられますよね。

もし、介護の経験がある人であれば、親身になってもらえますし、介護のコツなどを伝授してもらえるでしょう。

医師ケアマネージャーホームヘルパーなどの医療従事者が、話しやすくて信頼できるのであれば、相談してみてもかまいません。
彼らには守秘義務がありますので、他の人には言いにくいことでも安心して話すことができます。

また、ご近所には介護していることを隠さずに、きちんと説明しておくべきです。

マンションの管理人や、交番、行きつけのお店などに話をしておけば、徘徊や急な入院などの不測の事態にも適切に対応してもらえるでしょう。

大事なのは、すべて一人で抱え込もうとしないこと。

同じ悩みを抱える「介護家族の会」などに参加してみるのも良い方法かもしれませんね。

身体的負担軽減のため正しい介護スキルを身につける

介護疲れ原因の一つに、重労働や長時間の拘束などによる身体的な疲労が挙げられます。

これらの負担は、介護に関する正しい知識と技術を身に着けることで、かなり軽減できます。

例えば、ボディメカニクスを身に着けて、移乗や体位変換を行えば、腰痛や疲労の度合いが全く違ってきます。

効率よくこなせるようになれば、時間の余裕ができて、介護者の休養にもつながるでしょう。

各自治体の介護支援センターなどで講座の開催を確認して、参加してみることをおすすめします。

介護のスキルがアップするだけでなく、一緒に学ぶ仲間たちと交流ができて、精神的な支えも得られるかもしれません。

介護施設の利用を検討する

もし、在宅での介護に限界を感じているなら、施設の利用を検討してみましょう。

施設利用に対して批判的な意見を持つ方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし、介護する方だけでなく、される側も不満やストレスをためこんで日々を過ごしているのだとしたら、そのこだわりに意味があるとは思えません。

断固として施設入所を拒否していたのに、いざ入所してみると、その居心地の良さに大満足し、家族と共に笑顔を取り戻した 利用者さんもいらっしゃいます。

施設を利用することで、行き詰まっていた状況が一気に好転するケースもあるのです。

ただし、人気の施設は、順番待ちの方が多いので、早めの対処が必要です。

切羽詰まってから行動するのではなく、まだ大丈夫だと思えるうちから、選択肢の一つとして準備しておくべきでしょう。

みんなを幸せにできる介護をめざそう

介護は決して誰かの犠牲の上に成り立つものであってはなりません。

介護する方はもちろん、まわりの方や介護される方、すべての方々が幸せな気持ちで過ごせることが理想です。

そのためには、こうしなければという思い込みを捨てて、まわりに積極的に相談し、協力を求めましょう。

「介護疲れ」をどう乗り切る?ストレスを減らす対処法は?

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